「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の新クリエイティブ・ディレクターに、ルイーズ・トロッター(Louise Trotter)「カルヴェン(CARVEN)」クリエイティブ・ディレクターが就任する。「シャネル(CHANEL)」に移籍するマチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)の後任。彼女は来年1月24日に「カルヴェン」を去り、同月末に「ボッテガ・ヴェネタ」に入社する予定だ。
レザーを革新的な方法で取り入れ、職人とのものづくりを大切にする「ボッテガ・ヴェネタ」に新たな興奮と活気をもたらしたブレイジーに対し、トロッターがデザイナーとしてこれまでに見せてきたスタイルは彼よりもさらに控えめと言える。しかし、かつて「自分のイニシャルだけで十分(When your own initials are enough)」というキャッチフレーズを掲げていたブランドにとっては、おそらく理想的だろう。トロッターは、声明の中で「『ボッテガ・ヴェネタ』の芸術性と革新性という名高い遺産は、真にインスピレーションを刺激するもの。その未来に貢献し、その時代を超越したビジョンを称えられることを楽しみにしている」と述べた。
一方、バルトロメオ・ロンゴーネ(Bartolomeo Rongone)最高経営責任者(CEO)は、「精巧なデザインと崇高なクラフツマンシップをシームレスが融合させるルイーズの美学、そして文化的な擁護に対する彼女のコミットメントは、『ボッテガ・ヴェネタ』のビジョンと美しく不合致する。彼女の洗練された視点を通して、『ボッテガ・ヴェネタ』はその伝統を称え続けながら、現代的な結びつきを維持し続けるだろう」とコメント。ブレイジーに対しても「『ボッテガ・ヴェネタ』に魅力、エモーショナルな共感、そして知的なアイデンティティーを吹き込む上で、素晴らしいパートナーであったマチューに深く感謝している」と語った。
親会社ケリング(KERING)のフランチェスカ・ベレッティーニ(Francesca Bellettini)=ブランド開発担当副CEOは、「ルイーズは『ボッテガ・ヴェネタ』の大胆なクリエイティビティーと比類なき卓越性の伝統に、豊かな経験とフレッシュな視点をもたらしてくれる。彼女は、ロンゴーネCEOや『ボッテガ・ヴェネタ』のチームと共に、マチュー・ブレイジーが始めた素晴らしい旅を引き継ぐ上で理想的と言えるクリエイティブな才能だ」と話した。また、「明確なビジョンに満ちた創造性」をブランドにもたらしたブレイジーにも心からの感謝を表した。
ルイーズ・トロッターの経歴は?
トロッターは英国出身。ニューカッスル大学でファッションデザインを学び、コンテンポラリーブランド「ウィッスルズ(WHISTLES)」で働いた後、渡米。「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」「ギャップ(GAP)」「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」でキャリアを積んだ。その後ロンドンに戻り、「ジグソー(JIGSAW)」を経て、09年に「ジョゼフ(JOSEPH)」のクリエイティブ・ディレクターに就任。18年10月から約4年間クリエイティブ・ディレクターを務めた「ラコステ(LACOSTE)」では、ウィメンズウエアを強化するとともにアップサイクルの革新的な方法を探求した。
そして2023年2月、上海とパリに拠点を置くファッション企業ICCFグループ傘下の「カルヴェン」のクリエイティブ・ディレクターに就任。当時、シャウナ・タオ(Shawna Tao)最高経営責任者は、トロッターを 「メゾン再生ための完璧な候補者」と評していた。一方、トロッターはデビューショーに先駆け、「店舗もロゴも、すべてを変えるつもり」とコメント。「私の視点としては、かなり慎重に、そしてゆっくりと、築き上げていきたい」と新たな章への意気込みを語っていた。彼女の手掛ける控えめでありながら官能的なコレクションはメゾンに再び活気をもたらし、パリ・ファッション・ウイークへの復帰も果たしたが、3シーズンでの退任となった。