「ポール・スミス(Paul Smith)」の2014-15年秋冬メンズは、見ているだけで楽しくなる音符のモチーフが満載。しかし、それをロックに描くのではなく、時にモヘアを使ってクラシックに、そして時に中近東スタイルの柄の1つとして用いてエスニックに、全体的には秋冬カラーを主体にハッピーに表現しているのが、ウィットに富んだポールらしい。
音符のモチーフは、序盤はジャカード織のショールカラーのジャケットや、パジャマガウンのように羽織るモヘアのトレンチなど、フォーマルなスタイルをユニークに描くためのアイデアとして用いられている。とは言え、基本、ジャケットは細長いアームホールで、チェスターコートは先端のとがったピークドラペルタイプ。ベースは英国紳士の装いに忠実で、それを音符モチーフでハズす、といった雰囲気だ。
中盤の音符モチーフは、たとえば大きなストールを頭からかぶった貫頭衣のようなベストトップス、アフガンストールのようにフリンジをあしらった巻き物、そして、段通(手織りのカーペットの織り方)のような手法によるスリッポンなど、中東圏のエスニックを感じさせるアイテムにプラス。ただ、エスニックはあくまでスパイスで、基調は英国紳士。見る者をハッピーにさせるスタイルに溢れている。