「一つのルックや一人の男性像に捉われず、自由で柔軟なアイデアでハッピーな洋服を作りたい」とアルベール・エルバスは振り返る。「シリアスな一日もあれば楽しい一日もあるように、ファッションも多様性がなくては」と語るように、「ランバン(LANVIN)」は今季もアイテム、シルエットともにバリエーション豊か。数あるラインアップの中から、相反する要素をエッジィに組み合わせるスタイリングの妙も、このブランドの魅力の一つだ。
序盤はブラックやネイビーといったダークトーンのエレガントなスタイル。トレンドのオーバーサイズのチェスターコートはもちろん、ファーやレザー、ニットをパッチワークしたブルゾン、光沢あるブラックのダブルファスナーのダウンなど。ギャバジンに生地を貼り付けることで、ハリとコシのある表情を持たせて構築的なシルエットを強調した。中盤に向かうにつれ、エメラルドグリーンやアシッドピンクといった色味が添えられてゆく。シャツの襟とスニーカーといったディテールの色合わせを取り入れることで、洗練されたスタイリングにブラッシュアップしている。
後半は、デジタルからインスパイアされた、ギザギザ模様やネオン管の模様をシャツやネクタイにプリント。人の手や顔のシルエットが大きく描かれたアイテムなども相次いだ。「連絡先も知らない人同士が『いいね』でつながりあえる今のデジタル社会をポジティブに捉えている」と語ったルカ・オッセンドライバーは、色や柄で感覚に訴えるキャッチーな要素も盛り込んだ。