「ニューバランス(NEW BALANCE)」を運営するニューバランスジャパンは12月16日、日本の直営1号店として親しまれてきた「ニューバランス大阪」を改装し、「ニューバランス堀江」としてリニューアルオープンした。ブランドを象徴する色、グレーをコンセプトとしたライフスタイル特化型ストアで、同業態は国内7店舗目。店舗面積は281平方メートルと最も広く、初の路面店となる。9月に心斎橋筋商店街に開業した西日本最大規模の直営店「二ューバランス心斎橋」との2店舗体制で大阪の消費中心地を面で押さえ、関西におけるブランド力強化と客層のさらなる拡大を目指す。
シンボルカラーのグレーは、「ニューバランス」の本社があるアメリカ・ボストンの街並みに由来する。同ブランドが当時として超軽量のランニングシューズを発売したのは1980年代。ビビッドなカラーのランニングシューズが多いなか、ボストンの都会的な街並みに似合うカラーとしてあえてグレーを採用した。以来、グレーはブランドを象徴するカラーとして定着している。
「グレーをコンセプトにしたライフスタイルストアは、『ニューバランス』で最上位に位置づけられている。店がある長堀・堀江エリアは東京の裏原宿や代官山に匹敵するファッショントレンドエリアであり、ブランドをけん引するグレーコンセプトのストアを展開するには最適の立地と判断した」と、中塚博ニューバランスジャパン営業本部リテール部部長は話す。「エリアの特性上、この界隈はファッション好きの若者の来街が多い。店舗を通じて若年層の掘り起こしをしていきたい」と続ける。
人気の“メイド イン USA”も充実
コロナ禍明けで不動産の賃料が低下したことも後押しし、9月には心斎橋筋商店街にコミュニティー型店舗を新規出店した。心斎橋店がインバウンド客を中心に幅広い商品ラインアップを展開するのに対し、堀江店では以前からのコアなファンに加え、ファッション感度の高い若年層をターゲットに、上質なアパレルコレクションとシューズを提案する。
2フロアからなる新店舗は、コンクリートと温かみのあるウッドが融合したクリーンでニュートラルな内装デザインが印象的だ。1階はウィメンズ、2階はメンズで構成。人気の高い“メイド イン USA”“メイド イン UK”をはじめ、グローバル管轄の「東京デザインスタジオ ニューバランス」など、ライフスタイルカテゴリーのアパレルとシューズ、グッズが並ぶ。商品点数はアパレルが約150SKU、シューズが約100SKU、グッズが約90SKUで、アパレルを充実させた。
「東京デザインスタジオ ニューバランス」は、アメリカと日本のメンバーからなるデザインチームで開発しており、新たなテクノロジーとデザインを採用。24-25年秋冬は、リサイクルポリエステルとレーヨンの混紡糸を使ったフリースベストなどを企画した。フルラインアップをそろえる“メットトゥエンティーフォー(MET24)”は、「ニューバランス」のシューズを美しく見せることをコンセプトにしたアパレルライン。オフィスシーンでも着用できるセットアップが好評で、シャツ感覚で着られるミニマムな中綿ロングコートなど、アウターも充実する。
ゆったりとした作りの売り場では、接客も重視している。心斎橋店と同様に360度で足の測定ができる「3Dスキャンサービス」を導入。3名のシューフィッターが個々の顧客に対して最適なシューズを提案する。
休業にも関わらず、
過去最高売り上げを更新中
16年以降、ニューバランスジャパンは主要5大都市を中心に路面店出店を重ねてきた。消費者に直接発信できる拠点を各地で整備し、ブランド認知を全国に拡大する基盤作りに注力。また、ここ数年は既存の核店舗を中心に、半径15~20キロメートル圏内の駅ビルや商業施設への出店も拡大し、幅広い客にアプローチしてきた。大阪キタエリアでは、梅田の阪急うめだ本店とグランフロント大阪に出店。一方、ミナミエリアには今回リニューアルした旧大阪店1店舗しかなく、戦略的な店舗の出店を検討しており、それが9月の心斎橋出店につながった。
コロナ明け以降、ニューバランスジャパンの売り上げは好調に推移している。長年の顧客もコロナ後に戻りつつあるといい、国内客と訪日客の両輪が成長ドライバーとなっている。とりわけ、今回リニューアルした堀江店は改装で2カ月半休業していたにもかかわらず、年間売り上げは前年比2ケタ増で過去最高を更新中という。
グレーをコンセプトとした「ニューバランス」のライフスタイル特化型ストアは、国内では22年3月にニュウマン新宿に初出店。以来、ニュウマン横浜、ららぽーと福岡、柏高島屋ステーションモール(千葉)、タカシマヤ ゲートタワーモール(名古屋)、京都高島屋S.C.に出店してきた。