ようやく冬らしい気候になり、ファーアイテムが冬のビッグトレンドに返り咲きました。華やかさとぬくもりをもたらすファーは、着こなしが単調になりがちな冬本番にこそ役立てたい素材です。今の流れは、普段使いやカジュアルアップ。シンプルなスタイルに重ねるだけで特別感があるので、手軽に非日常のムードをまとえます。
例えば、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は柄をあしらったファーコートに、アシンメトリーの白スカートを合わせました。裾が軽やかに弾むボトムスと、ボリュームたっぷりのファーコートが互いを引き立て合います。今回は、寒さが厳しいニューヨークと、ベルリンのファッション・ウイーク会場で撮ったスナップから、デイリーウエアとマッチするファーコートのコーディネート術をご案内します。
異なるムードを添えた
軽やかなレディースタイル
ファーはゴージャスな印象を与えるので、“レディーライク”や“ガーリー”といった異なるムードを引き合わせるのが賢いスタイリングです。リッチで強いイメージはファーに任せて、テイストの着こなしを意識するといいでしょう。
毛足をツイストしたシャギーファーのハーフコートは、かさばりすぎず、軽やかな雰囲気。インナーは、素肌にアーガイル柄のVネックニットをまといました。プリーツスカートと合わせることで、ほどよく動きが出ています。全体の印象が重くなりすぎず、バランス良く仕上がりました。足元にはメリージェーン風のシューズを迎えて、ガーリーさも添えています。
ファーの風合いそのものに貴婦人のムードを薫らせる選択肢もあります。ビロード系の優美なつやめきを宿したファーは、リュクスな装いを完成させます。2枚目のネイビーのファーコートは、奥深い光沢感を放ち、上品さを際立たせています。このようなファーアウターの場合は、コートに主役を任せるのが得策。ストラップが目を引くシューズを履いて、足元に落ち着いた印象を与えています。
色柄ファーコートを主役に迎えた
ゴージャスルック
ファーの持ち味といえば華やかさなので、思い切った主張の強いスタイリングも選べます。様になるのは、堂々とした“強め”のコーディネート。ファーに負けない覚悟が決め手です。
1枚目のピンクのファールックは、グラマラスな印象と共に、ハッピーなムードも加えました。セーターとロングスカートもピンクで統一して、押し出しの強いワントーンルックに仕上げます。ピンクのモチーフをあしらったバッグで格上げし、足元は白ブーツでクリーンな印象を呼び込みました。冬の街で視線を集めるパワールックです。
全体に柄を配したファーコートは、スタイリングの主役に迎えたいアイテム。アクセサリーなどは控えめに、ファーアイテムを前面に押し出した着こなしが正解です。前を閉じて、コートを思う存分目立たせましょう。
2枚目のスタイルは、“ぶち柄”のコートが迫力満点。全体を“黒×白”でスタイリッシュにまとめました。ボトムスは引き立て役と割り切って、シンプルな黒のフレアパンツをチョイス。白とのコントラストが際立ち、レッグラインがシャープに映ります。
ショート丈アウターで
めりはりデイリールック
春先まで着られるショート丈のファーアウターは、トップスをのぞかせやすいので、レイヤードスタイルにうってつけ。微妙な温度調節に向いたアイテムです。
1枚目の写真は、ぬいぐるみのような“もふもふ系”のショートアウターが、愛らしい雰囲気を呼び込みました。バッグも風合いをそろえた“ファー・オン・ファー”。トップスとパンツは黒ですっきりまとめて、コントラストを際立たせます。
ファーアウターのバリエーションが広がっています。気軽に羽織れるブルゾンやジレは、真冬以外にも取り入れやすいアイテム。コートと違って、軽やかにまとえるのもいいところです。
2枚目の女性は、全面にファーをあしらったブルゾンを羽織りました。Tシャツとジーンズというカジュアルスタイルの上に羽織るだけで、リッチなムードがアップ。デイリー感が格上げできます。あえてカジュアルな装いに合わせるスタイリングが、こなれた印象を引き出しました。
ゴージャスなイメージがあるファーアウターですが、今回取り上げたスタイリング技を生かせば、日常使いしやすくなります。組み合わせ方のコツは、シンプルなスタイルやデイリーアイテムに合わせること。ファー自体にリッチで非日常的なムードがあるので、かえってうまく折り合います。
微妙な温度調節に好都合なのは、薄着のウエアとのコンビネーションです。外では暖かいファーを羽織り、室内ではアウターを脱げば快適に過ごせます。デイリースタイルをきれいめなウエアに置き換えれば、ドレスアップ仕様にも早変わり。ファールックは、フェスティブなイベントが増えるホリデーシーズンに背中を押してくれそうです。