スペインのインディテックス(INDITEX)が手掛ける「ザラ(ZARA)」はこのほど、オリジナルカフェ「ザカフェ(Zacaffe)」をマドリードのメンズ専門の旗艦店内にオープンした。
「ザカフェ」は、フランス系モロッコ人のクリエイティブ・ディレクター、ラムダン・トゥアミ(Ramdane Touhami)がオーナーを務めるデザイン事務所アート ルシェルシュ アンデュストリ(Art Recherche Industrie)がコンセプトデザインを担当。ラムダンは、1803年創業の総合美容専門店「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」を2014年に復活させた立役者であり、パリを拠点とするスケートブランド「キングサイズ(KING SIZE)」やストリートブランド「レジスタンス(RESISTANCE)」の共同創設者としても知られる人物だ。彼によれば、7月の最終週に「ザカフェ」を手掛けることが決定し、9月末にはオープン準備が整うスピード感だったという。そして、2025年内に大阪とソウルにも「ザカフェ」をオープンするほか、場所は明らかにされていないが4店舗目も準備段階にあるそうだ。
場所は、11月末に市内中心部のエルモシリャ通り沿いに新たにオープンした広さ約700平方メートルのメンズ専門の旗艦店内で、店舗とは別に「ザカフェ」専用の入り口を用意。内装は、マドリード市内で散見されるムーア複古様式(イスラム様式)を着想源とし、温かみのある色合いやレンガ造りなどは、カルチャーセンター「カサ・アラベ(Casa Arabe)」をはじめとしたネオ・ムデハル建築を参考にしている。また、ラムダンはインテリアや食器のデザインも手掛けており、アラブ建築の木製格子を想起させる曲線的なモチーフを随所に落とし込んだ。なお、マドリードに正式オープン前、ドバイやパリ、リスボンでは試験的に同様のコンセプトカフェをオープンしていた。
ラムダンは、「『ザラ』のアイデアは、“ブランド・イン・ブランド”を作ることであり、包括的な目的は、店内に地元のインスピレーションを取り入れながら、顧客にショッピング以外の選択肢を提供すること」と話し、続けて「『ザカフェ』こそ、『ザラ』というブランド価値を高める。ブランドの高級志向と商品をハイスピードで提供するDNAの相乗効果により、今後、『ザラ』は“非常に危険な存在”になるだろう」とコメント。さらに、今回のプロジェクトを引き受けた理由については、「私の出身国であるモロッコは、700年以上スペインを支配していた。だから、スペインのブランドから声が掛かった時、『ノー』と言うつもりはなかった」とユーモアを交えて答えた。
また、彼は9月末に自身が経営する18のブランドや企業の拠点となるスペース「ワーズ サウンズ カラーズ&シェイプス(WORDS SOUNDS COLORS & SHAPES)」をパリのマレ地区にオープン。ここにも彼が監修するカフェ「ドライ ベルジェ ユートピア(Drei Berge Utopia)」が入っており、2025年1月のパリ・メンズ・ファッションウィーク中に正式オープンし、小林竜太朗によるホットドリンクとペストリーが提供される予定だ。
「ザラ」のほかにも、H&M傘下の「アーケット(ARKET)」や「カーハート(CARHARTT)」「イケア(IKEA)」マークス&スペンサー(MARKS AND SPENCER)などもカフェ事業を展開しており、これらは自社または外部業者によって運営されている。