ビューティ

2024年下半期ベスコスを読みとくキーワード

「ディオール」“ディオールスキン ルージュ ブラッシュ カラー&グロウ”

ベスコスは半期のトレンドや消費者ニーズを色濃く反映している。その中で今回発表した14カテゴリーを読みとくと、今期の特徴が見えてきた。カラーアイテムではチークが台頭。頬に自然な艶感を与えつつ、華やかさをプラスできるチークとハイライトを融合させた商品なども注目を集めている。ベスコスでランクイン数が多いブランドに見る勢いなど、7つのキーワードで紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年12月23日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋です)

01. チーククラッシュ

今期はチークに新たな潮流が生まれた。これまでチークの目的といえば血色感を引き出すことで、オレンジやピンクなど赤みを帯びた暖色が主流だった。しかし今期は青みがかったラベンダー系の色味に注目が集まった。体温を感じさせず、肌本来の透明感を引き出し、重ねても強くは発色しないことから「ステルスチーク」としても話題となった。象徴するのは百貨店の新商品チーク部門首位に輝いた「ディオール(DIOR)」のチークの人気色“287”。2位の「スック(SUQQU)」“ブラーリング カラー ブラッシュ”もライラックカラーの色味“06透重”が好調だった。両商品、チークだけでなくハイライトがセットしてあり、上品な艶感も新たなトレンドとなっている。

02. 二大巨頭は……

百貨店チャネルのブランド別入賞数のトップ2は「ディオール」と「コスメデコルテ(DECORTE)」だった。「ディオール」はチーク、アイメイク、フレグランス部門の首位を総なめにし、ベースメイク部門でも入賞。特にカラーコスメで力強い結果を残した。人気アイシャドウ“ディオール ショウ サンク クルール”の限定色は、「若い人から人気があり、限定ポーチがついている点も好評」とブランドに憧れる若年層の心をつかんだ。「コスメデコルテ」はクレンジングとベースメイク部門で1位を獲得し、高い商品力がユーチューバーによる発信を増やし、SNSでの話題を醸成した。新発売のクレンジングは、水のようにとける潤いジェルで使用感に定評があり、2位にダブルスコアの差をつけて堂々の首位に輝いた。

03. ECに新顔

知名度はあるものの、これまでランクインが少なかったブランドがECチャネルで上位に入った。「エスト(EST)」の2019年に誕生したエイジングケアライン“G.P.”は初のリニューアルで、それぞれの肌状態に合わせて3タイプを用意するなど機能性も高まり支持を集めた。そのほか、「アユーラ(AYURA)」も代表アイテムである入浴剤で1位を獲得。21年に限定発売した2層タイプの入浴剤が復刻し、即完売になるほどだった。「アスレティア(ATHLETIA)」もこれまで登場が少なかったが、スカルプケアとしてもシャンプーとしても使える2 in 1アイテムで首位を獲得した。いずれも商品力の高さは実証されている中で、リニューアルや復刻などのニュース性を発信しながら、パワーアイテムを発売したことが奏功した。

04. やっぱり保湿

24年上半期のボディーケアアイテムは肌の露出に伴い、ボディースクラブが上位を占めていたが、今期は夏の紫外線や乾燥による影響を受けて保湿商材が各チャネルで台頭した。ドラッグ・バラエティーストアで1位を獲得した「ニベア(NIVEA)」は高保湿タイプだが軽やかな使用感が好評だったことに加え、近年人気のキンモクセイの香りを備えたことも大きく、発売後は瞬く間に完売したほど人気だった。「ヴァセリン(VASELINE)」もブランドを代表するワセリンを主成分に潤いが持続すると評判のボディーローションがランクインした。“艶肌”をかなえられる保湿はもちろんだが、香りへの支持も高く「ほのかに香りを放つことで癒やし効果も得られる」といったバイヤーのコメントもあった。

05. 香りの時代

コロナ禍を経て根付いたのが香り文化だ。在宅勤務が定着する中でのオン・オフの切り替えや、外出機会の増加で香水を使用する頻度も高まっている。首元や腕、ウエストや膝の裏など、つける場所によって変わる香りを楽しむ人もいる。シーンやその日の気分によって香りを選ぶことも多く、ミニサイズから通常サイズまで容量の幅も増えていることも市場全体を底上げする。「シャネル(CHANEL)」の“ガブリエル シャネル ロー オードゥ トワレット”はジャスミンなど4種類の白い花をメインにした香りで、「高級感があり、普段とは違う特別感を演出できると人気。秋冬にもおすすめの香り」とのバイヤーの声。年間を通じて香りを楽しむ時代になっている。

06. 減速するKビューティ

昨年は韓国コスメ「VT」の美容針を配合した美容液“リードルショット”がバラエティー・ドラッグストアチャネルを席巻した。また日韓共同開発のメイクブランド「ウォンジョンヨ(WONJUNGYO)」の複数受賞など、Kビューティが台頭していたが、今期は落ち着きを見せて入賞数は減少した。その中でも存在感を見せたのは、キャッチーなパッケージで消費者を魅了する「フィー(FWEE)」。3Dのようなボリューム感と光沢感を与えるリップグロス“3Dボリューミンググロス”が厚い支持を集めた。「塗った瞬間の艶感が感動レベルで艶持ちもいい。日本での発売を待っている人も多かった。売り切れ店舗続出」とのバイヤーの声もあり、新興ブランドの動向に注目が集まる。

07. ブラシ旋風

リファ(REFA)」の新作コーム“マーキス ウィズ”を筆頭に、ヘアブラシが美顔器やドライヤーを抑えて上位にランクインした。同商品は昨今のシースルーバング人気に伴い、前髪のセットや外出時のお直しに重宝すると人気に。高価格帯のドライヤーやヘアアイロンの購入が一段落し、ヘアブラシに注目が集まっている。同じく「リファ」の“イオンケアブラシプレミアム”は、「シャンプー・コンディショナー時に使用するのがおすすめ。使用後の髪に感動するという声も多い」とバイヤー。「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」のディズニープリンセスが描かれたパドルブラシは、一部店舗で実施する“刻印サービス”で名入れができるため、ギフト需要が高まった。

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