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米百貨店ノードストローム、創業家らによる1兆円規模のMBOで非公開化

米百貨店ノードストローム(NORDSTROM)は12月23日、創業一族のエリック・ノードストローム(Erik Nordstrom)最高経営責任者とピーター・ノードストローム(Peter Nordstrom)社長兼チーフ・ブランド・オフィサーらが提示したMBO(経営陣による買収)案について合意し、最終契約を締結したことを発表した。

両氏および一族は9月の段階で、メキシコの百貨店リバプール(LIVERPOOL)などを運営するエル・プエルト・デ・リバプール(EL PUERTO DE LIVERPOOL)と手を組み、ノードストロームの非公開化を目指すことを明らかに。当初は1株あたり23ドル(約3588円)での買収案を提示していたが、今回1株あたり24.25ドル(約3783円)、企業価値にして62億5000万ドル(約9750億円)での合意となった。全て現金で買い付けるという。なお、これはMBOに関して海外メディアが報じる以前の3月18日の同社の株価と比べ、約42%のプレミアムが上乗せされている。買収の完了後、持分は一族が50.1%、リバプールが49.9%となる。

規制当局による承認が下りるタイミングにもよるが、取引は2025年上半期に完了する予定。その際、普通株主に1株あたり最大0.25ドル(約39円)の特別配当を支払うという。

ノードストロームとリバプールの歴史

ノードストロームは、1901年にジョン・W・ノードストローム(John W. Nordstrom)がシアトルで開いた靴店を祖業とする大手百貨店。ジョンの引退後は息子らが経営を引き継いで事業を拡大し、71年に米ナスダック(NASDAQ)に、99年にはニューヨーク証券取引所に上場した。現在、同社を率いるエリックとピーターはジョンのひ孫にあたる。2018年4月にマンハッタンにメンズ館を、19年10月にはマンハッタン旗艦店をオープンし、ニューヨークに本格的に進出。比較的早い段階からECの強化に取り組み、オンラインで注文した商品を店頭で受け取れるシームレスなショッピング体験に力を入れているのが特徴だ。現在、売り上げの36%をECが占めている。

リバプールは創業177年を迎えたメキシコの大手百貨店で、同国内で約120店を運営。その親会社であるエル・プエルト・デ・リバプールは、ショッピングモールや専門店の運営を手掛けているほか、保険や消費者金融業なども行っている。22年にノードストロームの株主となり、24年6月末の時点で約9.6%を保有する、一族以外では最大の株主。

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