アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。「ニューヨーク・コミコン2024」が10月17〜20日に開催された。場所はジャヴィッツ・センターという東京ドーム約1.5倍の広さのコンベンションセンター。4日間で来場者数20万人を誇る、名実ともに世界最大級のポップカルチャーの祭典である。日本アニメの市場規模は今、4兆6000億円に上るといわれており、その売り上げの半分以上を稼ぐのが海外だ。今回は、本明さんが見た「NYコミコン」の話。(この記事は「WWDJAPAN」2024年10月28日号からの抜粋です)
本明秀文(以下、本明):今年も「NYコミコン」に視察に行ってきた。僕は4〜5年通っているんだけど、毎年だいたい日本のアニメのブースが会場のメインを張っているわけ。だけど、年々、人気が下がってきているようにも感じる。日本のアニメと言えば、「ドラゴンボール」「ワンピース」「ナルト」「ガンダム」……いろいろあるんだけど、毎年同じことをやっていて、目新しさがない。だから版権元としては新しいアニメを海外に持っていきたいけど、なかなか芽が出ない。例えば、バトルアニメは人気があるけど、ストーリーが難しくなるとアメリカ人には理解できないらしく、そういう意味で、最近の漫画は小難しいから人気が出づらい。だから実際には、日本のアニメとはいえ閑古鳥が鳴いているブースも多く、ニュースで見るような“日本のアニメに熱狂”みたいなのとは、少しギャップを感じたね。アクスタ(アクリルスタンド)を全種類集めるために何度もクジを引くような日本のオタク文化とは違って、ただキャラクターのグッズを置いただけで、なんでも売れるわけではないし。
──ファッションのコンベンションと同じような状況ですね。「コンプレックスコン(COMPLEXCON)」も「ハイプフェス(HYPE FEST)」も「インナーセクト(INNERSECT)」も、毎年同じようなアーティストやブランドが出るので、目新しさがなくなってきました。主催者側にも問題があり、日本のブランドは世界的に人気があるから、内容の審査もほとんどなく“ウェルカム”な状態で、「なんでもいいから出てほしい」みたいなノリです。消費者の目も厳しくなり、ブランドよりもコンテンツの時代になってきている気がしますね。
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