アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。イルミネーションが輝く表参道に、連日、若い男女が長蛇の列をなしている。行列の先にあるのは、「アミ パリス(AMI PARIS)」の期間限定カフェだ。若者たちは皆、パリの街並みを彷彿とさせるファサードと一緒に、ハートモチーフのカフェラテを撮っている。SNSの絶対的王者になるには、店舗自体に魅力がないといけない。そして、それが売り上げに直結する。今回は今求められる店舗の在り方とSNS の話。(この記事は「WWDJAPAN」2024年12月16日号からの抜粋です)
本明秀文(以下、本明):ニューヨークに行くと必ず「エッサベーグル」という老舗ベーグルショップに行く。僕が行くのは昔からあるグランドセントラル近くの店。昔はローカルの人しかいなかったのに、今はほとんどが観光客。奥にはイートインスペースもあるけど、いつも並んでいるから僕はほとんどテイクアウトする。でも最近の飲食業界はウーバーイーツ(UBER EATS)が主流になってきていて、実店舗のイートインスペースが無くなってきた。コンパクトな店舗には、厨房とテイクアウト用のカウンター、それとウーバーイーツの受け取り用ロッカーしかない。そういう店が増えてきて、これまで大箱を構えていた飲食店が苦戦を強いられているね。
──ニューヨークの家賃の上昇率を見ても、大きな店舗は家賃が重荷になりそうです。
本明:そうだね。ファッション業界は、コロナが明けてからネット通販の売り上げが落ちて、代わりに実店舗の売り上げが上がっている。だけど当然、店舗同士の競争も激しい。スニーカーチェーンだと、ニューヨークは「フットロッカー」が多いんだけど、最近はイギリスの「JDスポーツ」やドイツの「スナイプス」が店舗を増やしつつある。最新のコンセプトで店舗を作るから、インスタ映えもするし、お客さんは新しい店舗で買う。だからアメリカでは老舗の店舗がどんどん改装を迫られている。今は、“早いもの勝ち”ではなく、“後出しジャンケン”の時代なんだよね。
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