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「ラッシュ」ロンドン製造工場で手作りの工程を見学&体験 発祥地の1号店も訪問 

先月、「ラッシュ(LUSH)」誕生の地であるイギリスに行ってきました。2007年から行うチャリティープログラム「ラッシュギビング」の寄付金額が1億ポンド(約200億円)を達成したイベント取材(詳しくは12月23日号「WWDBEAUTY」をご覧ください)や、ロンドンのオックスフォードストリートにある3層構造の旗艦店の見学などが目的だったのですが、ロンドンから電車で2時間30分ほど離れたドーセット州プールにある製造工場にも訪れ、徹底してハンドメイドにこだわる製造工程を見学&体験してきました。

プールの製造工場は17の建物(ユニット)で構成し、各ユニットでパリをはじめヨーロッパで販売する商品などをハンドメイドで製造しています。訪れた11月下旬はクリスマス前の繁忙期とのことで1300人程度が働いていましたが、通常は700人前後のスタッフによって商品やサービスなどを生み出しています。

世界6カ国7つある製造拠点「フレッシュ キッチン」の中で、“フレッシュ”と呼ばれる2〜3週間で使い切る商品を製造する工場は限られています。作りたてを届けるため、約20人がフレッシュゾーンで勤務しています。冷蔵庫にはパパイヤやパイナップル、キウイフルーツ、オレンジ、ニンジンなど食べられる果実や野菜が保管されています。ドライフラワーやハーブなどの抽出もフレッシュゾーンの担当者が行います。ちなみに昨年は204kgのアロエベラ、908 kgレモンジュースを使用したそうです。

ハンドメイドによって作られた商品は手で充填します。手で充填する理由は、輸出の場合はラベルに記載されている重量に達しないと輸出できないため容量が合っているか確認するため、原材料が高価なため使用された原料をスタッフが把握するためだといいます。もちろん、ラベル貼りも全て手作業です。充填した商品は消費期限が短いこともあり最小単位で各店舗に発送されます。

「ラッシュ」は砂糖やはちみつ、塩、植物由来のグリセリンなどを用いて合成保存料は使用しません。ラベルに記載されている成分は緑の文字が自然由来成分、グレーが化学成分とラベルにおいても透明性を追求しています。ちなみに日本では薬機法上、単色にする必要があるそうです。

世界で年間3200万個のバスボムを製造

「ラッシュ」を代表する商品の“バスボム”などを製造するユニットは広大な空間が広がっていました。ここではバブルバーやファン(粘土タイプの石けん)なども作られます。昨年バスボムは世界で約3200万個(うち日本は約400万個)を製造。イギリスではバスボムや入浴剤などがセットになったギフト商品は約200万個(日本は約80万個)を製造したそう。各テーブルごとに製造する種類が決められ手作業で形成していきます。

このユニットでバスボム作りを体験できました。雪の結晶を容器に入れ、濃紺の粉体を詰めて完成です。位置がずれないか気をつけながら作るので5分程度かかりましたが、スタッフは1個に1分もかけずに作っていました。作らせてもらったバスボムは店舗で実際に売られるそうで、誰かが手にしてくれるのかと思うと商品が一層愛おしく思えました。

材料をリユース・転用・修理・リサイクルする施設

これまで廃棄物として処理してきた材料を循環する施設「グリーンハブ」を2022年に開設しました。商品や製造、店舗運営で不要となった全てのものを管理、循環しています。例えば、店舗で使用しなくなったタイルや什器を保管したり、製造過程で使用した水を浄化して排水したり、スパで使用するタオルを洗浄するランドリー室を設けたり、フレッシュネスポリシー(製造してから3カ月以内に発送する約束)を外れた商品を保管し、病院や学校、難民などに寄付したりと廃棄しない取り組みを徹底しています。

倫理的行動の責任者が24年の成果を語る

PROFILE: ヒラリー・ジョーンズ/ラッシュ エシックス・ディレクター

ヒラリー・ジョーンズ/ラッシュ エシックス・ディレクター
PROFILE:  約20年前はキャンペーン活動家として活動。ラッシュに入社後は製造工場で石けん製造を担当した後、発送部門でフォークリフトなども運転。現在は人権や動物の権利擁護、環境保護などラッシュが取り組む全ての倫理的な行動に責任を持つ

ラッシュは動物実験廃止やパッケージレス商品開発、容器リサイクル、倫理的かつ持続可能を越え新たな価値を作っていく方法での原料調達などさまざまな取り組みを徹する中で、ブランドを継承する社員が常にラッシュらしい行動を取り続け、ラッシュがラッシュらしくあり続けるために2018年にエシカル憲章を制定しました。エシカル憲章は動物実験反対、100%ベジタリアン、納税ポリシー、キャンペーンカンパニー、公平な給与、誰もを受け入れる多様性、透明性と外部監査の7つの核で構成しています。その中で2024年は動物実験反対にフォーカスしてきました。科学が発達して代替実験ができるようになり、今こそ動物実験を終わらせる時期だと感じたからです。政治家への働きかけやロビー活動で一定の手応えを得ていいます。25年は気候変動への取り組みにも注力していきます。

「ラッシュ」1号店

「ラッシュ」1号店は、イギリス・ドーセット州プールのハイストリート29番地に今もあります。大型旗艦店と比べるとかなり小規模な店舗ですが、趣がありアットホームな雰囲気。スパも併設されており、ゆったりとした時間を過ごせました。

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