ファーストリテイリングの2024年9〜11月期連結業績は、売上高に相当する売上収益が前年同期比10.4%増の8951億円、営業利益が同7.4%増の1575億円、純利益が同51.8%増の2310億円と、第1四半期としての過去最高益を更新した。暖冬の逆風の中でも国内ユニクロが好調で、海外ユニクロも大型店出店を進める米欧や東南アジアが全体をけん引した。一方で、グレーターチャイナのユニクロやジーユー事業は精彩を欠いている。
国内ユニクロの9〜11月の既存店売上高は同7.3%増。高気温で10月は前年同月実績を割り込んだが、気温が下がった11月以降は冬物がよく売れて勢いに乗り、12月は「単月売り上げとして過去最高を記録した」(岡﨑健 取締役グループ上席執行役員CFO)。業界全体で課題となっている気候変動に対応したMDについて、「(10月の苦戦はあったものの)気温に左右されにくい商売が確立しつつある」とコメント。スエット、ロングスリーブTシャツ、ポケッタブルパーカなどの年間定番商品の拡大や、気温に合わせてそれらをレイヤード提案することで、今後も対応を進める。
海外ユニクロは、9月以降米テキサス州のダラス、ヒューストンに計5店の出店を果たすなど、従来出店していなかった大都市に大型店を出店して認知を高めると共に、ドミナント的に周辺に複数店出店して成果をつかんだ。「テキサス州はオープン初日に1000人超の行列ができた店舗もあり、計画を大幅に上回る推移」と手応えを語る。
中国市場全体の減速が影を落とすグレーターチャイナのユニクロ事業は、「減収、大幅な減益」。引き続き、従来のチェーン展開による拡大成長に代えて、個店ごとにエリアのニーズを汲み取って市場に浸透していくあり方へと構造改革に取り組んでいる。「中長期的に心配はしていない。今はまさに改革の最中」だ。
ジーユー事業は、9月に米ニューヨークに初のグローバル旗艦店を出店し、真のグローバルブランドを目指すと掲げた中での「増収、大幅な減益」。「本質的な課題として、確固たるブランドポジションが国内外で明確に確立できていない」と厳しいコメントが飛んだ。バレルレッグジーンズなどグローバルヒットは出ているが、「売れ筋が欠品したり、それ以外が在庫となって売り場を圧迫したりと、商品計画のコントロール精度が未熟」。ユニクロ経験者をジーユーへ異動させるなど、グループ総動員で精度向上を進めている。