アメリカのジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、文民では最高の栄誉となる「大統領自由勲章(The Presidential Medal of Freedom)」の授与式を開催し、ファッションデザイナーとして初めて、ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)を受章者に選出した。先見の明のあるファッションデザイナーとして、また先駆的な起業家、革新的なビジネスリーダー、献身的な慈善家として多岐にわたる長年の功績が称えられた。
ニューヨーク州ブロンクスでビジネスを始めたローレン=創業デザイナーは、ネクタイのデザインからスタートし、マンハッタンで成功。その後、メンズやウィメンズ、キッズ、ホームにコレクションを拡充し、映画のようにストーリー性のあるキャンペーンビジュアルやその世界観を踏襲したレストランを通し、60年以上にわたりアメリカンスタイルを再定義してきた。創造性やアメリカンドリームを象徴する存在としてその名を広め、24年度の売上高は66億ドル(約1兆362億円)に達した。なおローレンはファッションと文化への貢献のみならず、がん治療における格差をなくすために続けている慈善活動も高く評価された。
授与式に出席したローレン=創業デザイナーは、「私の故郷であるアメリカの歴史、伝統、価値観は常に私のインスピレーション源になっている。大統領から直々に授与される『大統領自由勲章』は私にとって生涯忘れることのできない名誉だ。誇り高きアメリカ国民として、深い感謝を込めて受けとりたい」と語った。
「大統領自由勲章」は、ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)元大統領によって1963年に創設され、アメリカの繁栄、価値観、安全保障、世界平和、またはその他の重要な取り組みに模範的な貢献をした個人を称えるもの。バイデン大統領は今月末に退任予定で、任期中最後となる。
今回はローレン=創業デザイナーの他に、メディア界をリードしてきた功績を称えられた米「ヴォーグ(VOGUE)」編集長のアナ・ウィンター(Anna Wintour)や主要政党で史上初の女性大統領候補に選ばれたヒラリー・クリントン(Hillary Rodham Clinton)、エイズや貧困の問題に取り組むロックバンド、U2のボノ(Bono)、自らもパーキンソン病と闘いながら治療研究を支援する俳優のマイケル・J・フォックス(Michael J. Fox)、子供への医療・教育支援を行うサッカー選手のリオネル・メッシ(Lionel Messi)、リベラル派の運動や候補者を積極的に支援していることで知られる投資家のジョージ・ソロス(George Soros)、格差是正に尽力するNBAの元選手、マジック・ジョンソン(Earvin “Magic” Johnson)の他、俳優のデンゼル・ワシントン(Denzel Washington)や動物行動学者のジェーン・グドール(Jane Goodall)、シェフのホセ・アンドレ(Jose Andres)ら19人に授与された。
バイデン夫妻は「ラルフ ローレン」の大ファン
なお、バイデン大統領は「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」の服をたびたび着用している。21年1月に行われたバイデン大統領の就任式では、同ブランドのネイビースーツにトップコート、ネクタイでトータルコーディネート。その後の任期中の大事なシーンにおいて、妻のジル・バイデン(Jill Biden)とともに「ラルフ ローレン」を着用する機会が多く見られ、ジル夫人は昨年9月にニューヨーク・ハンプトンズで行われた25年春夏コレクションのショーにも来場している。