2024年は、欧州や中東における地政学上の先行き不透明感や米国におけるインフレの加速、中国の景気停滞などを背景に、ファッション業界ではM&Aをはじめ、経営陣やクリエイティブ・ディレクターの去就など多くの動きがあった。イタリアの企業やブランドも例外ではなく、業績悪化に伴う事業売却や、長期的な成長戦略を描くための上場廃止などが見られた。ここでは、主なイタリアブランドの最新動向をまとめつつ、25年に注目すべき話題について紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年1月13日号からの抜粋です)
アエッフェ(AEFFE)は2024年9月、傘下に持つ「アルベルタ フェレッティ(ALBERTA FERRETTI)」のアルベルタ・フェレッティ創業者兼クリエイティブ・ディレクターが退任することを発表した。後任には、同じく同社が擁する「フィロソフィー ディ ロレンツォ セラフィニ(PHILOSOPHY DI LORENZO SERAFINI)」を率いるロレンツォ・セラフィニ(Lorenzo Serafini)=クリエイティブ・ディレクターを起用。ブランド力を強化する新戦略の一環として、25-26年秋冬シーズンから両ブランドを統合するという。
同社は、1980年にイタリア・ロマーニャ州でアルベルタとマッシモ・フェレッティ(Massimo Ferretti)姉弟が設立。ほかに「モスキーノ(MOSCHINO)」と「ポリーニ(POLLINI)」を擁しており、マッシモが取締役会長を、アルベルタがバイス・プレジデントを務めている。なお、同社は同じく24年9月、「モスキーノ」のビューティ事業を、長年のライセンシーである伊企業ユーロイタリア(EUROITALIA)に9800万ユーロ(約158億円)で売却。アエッフェの24年1~9月期決算は、ラグジュアリーセクター全体の減速や卸の不調などの影響で、本業による売上高は前年同期比17.8%減の2億777万ユーロ(約336億円)だったが、この売却益を含むその他の収入が9154万ユーロ(約148億円)あり、それを含めると同15.0%増の2億9931万ユーロ(約484億円)に。純損益は前年同期の1776万ユーロ(約28億円)の赤字から3520万ユーロ(約57億円)の黒字に転じた。
伊アパレル企業ニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP以下、NGG)は24年11月、日本の民事再生法にあたるイタリア倒産法(以下、CNC)の適用を申請した。CNCは破産の手続きをするものではなく、NGGは債務を整理しつつ事業を継続し、再建を目指すという。
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