イタリア人写真家のオリビエーロ・トスカーニ(Oliviero Toscani)が1月13日、イタリア・トスカーナ州の病院で死去した。82歳だった。彼は2年前、アミロイドーシスを患っていることを明かしていた。
トスカーニは1942年2月28日ミラノ生まれ。「エル(ELLE)」や「ヴォーグ(VOGUE)」「ハーパーズ バザー(HARPER’S BAZAAR)」「エスクァイア(ESQUIRE)」などの雑誌から、「ミッソーニ(MISSONI)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「シャネル(CHANEL)」「フィオルッチ(FIORUCCI)」といったブランドまでと、数十年にわたり仕事をしてきた。
なかでも、そのキャリアは80年代から90年代にかけてメッセージ性の強い広告キャンペーンを制作した「ユナイテッド カラーズ オブ ベネトン(UNITED COLORS OF BENETTON以下、ベネトン)」とのパートナーシップに深く結び付いている。彼は、作品を通して死刑制度やエイズ、人種差別、同性愛などの問題に光を当てたパイオニアでもあり、慣習に逆らうような革新的かつ露骨なイメージは物議を醸した。その結果、長年にわたり、彼が手掛けたいくつかの「ベネトン」の広告は、さまざまな国や雑誌で禁止された。一方、彼は「ベネトン」と共に91年に雑誌「カラーズ(COLORS)」を創刊。94年にはベネトンのシンクタンクであるファブリカ(FABRICA)も構想した。2017年には当時最高経営責任者に復帰した創業者のルチアーノ・ベネトン(Luciano Benetton)から17年ぶりに呼び戻され、20年に問題発言により解雇されるまで同ブランドの広告キャンペーンを手掛けた。