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コーセーがインド発スキンケアブランド「フォックステイル」と戦略的提携契約 合併会社立ち上げも視野に

コーセーは1月15日、インド発D2Cスキンケアブランド「フォックステイル(FOXTALE)」を展開するフォックステイル社へ出資し、同社との戦略的提携契約を締結したことを発表した。株式は10%を所得し、取得価額は非公開だ。

同社は、中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner-Milestone2030」の中で、自社のリソースに固執せず外部パートナーとの連携や外部アセットの活用を進めることでグローバルな事業成長を強化する意向を示した。2024年12月にタイ発のウェルネスブランド「パンピューリ(PUNPURI)」の買収を発表しているが、今回の事案はそれに次ぐ第2弾。現地起点のマーケティング・モノづくりへと転換し、重点領域と位置付けるグローバルサウスのインド市場における事業強化を目指す。

急成長するインド市場

グローバルサウスエリア Beauty&Personal Care 市場規模&成長率 ユーロモニターによると、24年のインドにおける化粧品市場は約2.6兆円におよび、今後も急速な成長が続くという。さらに、日本円にして500〜1500円のプレミアムマス市場、1500〜5000円以上のプレミアム市場を中心にローカルの企業が参入し、競争は激化している。

コーセーは、15年にインドのニーズに即して開発した現地専用のスキンケアブランド「スパウェイク(SPAWAKE)」を立ち上げて以降、14州、68都市でリアル店舗を中心に展開してきた。コロナ禍を除き、ブランドの売り上げは右肩上がりに成長してきたものの、小林一俊社長は「期待通りの売り上げには達していない」とコメント。「当初は、低価格と日本製をアピールして市場に参入した。しかし、10年間でマーケット環境は劇的に変わり、規模もプレイヤー数も大きく変化した。現状のままでは存在感を出せる状況でないと判断し、今回の決断に至った」と説明した。

創業から3年で急成長する「フォックステイル」

フォックステイルは21年、ロミータ・マズムダール氏がインド・ムンバイで創業したD2Cを中心とする化粧品会社。22年からスキンケアブランド「フォックステイル」の販売をオンラインで始め、24年3月期の売り上げ規模は24億円、24年3月期は56億円を見込んでいる。現在の販売チャネルは自社オンラインサイトが50〜55%、アマゾンなどのマーケットプレイスが30〜35%、オフラインが10〜15%という内訳だ。

同社は、消費者の声を元に徹底的に試作を繰り返し、消費者の評価をもとに発売を決める商品開発の手法を採っている。顧客視点のデジタルコミュニケーションとデータ解析によりファンを獲得しており、公式サイトのリピーター客は50%以上を占めている。

合併会社の立ち上げも視野に

インド市場ですでに実績のあるフォックステイルのマーケティングの知見やノウハウを活用し、インド市場でのコーセーのプレゼンス向上を目指していく。具体的には、コーセーからフォックステイルへは、R&Dの知見から処方や商品開発へのサポートを実施し、フォックステイルからコーセーへは、「スパウェイク」の売り上げ拡大に向けてフォックステイルのメンバーからサポートを得る。すでに合併会社の立ち上げ準備をしており、共同で新ブランドの立ち上げも視野に入れている。

フォックステイルのインド人の肌に合わせた商品のニーズ探索とコーセーの要望に合わせた多種多様な商品開発技術を掛け合わせることで売り上げのアップサイドを狙う。また、フォックステイルのデータを駆使した営業とデジタルマーケティング、コーセーの長年培った研究開発による信頼できるデータを掛け合わせることで、価値創出を図る。フォックステイルのインド国内における自社倉庫活用とコーセーのスケールメリットを享受するグローバル調達を掛け合わせることで、コスト低減も期待できる。

「創業者、小林孝三郎の言葉を思い出した」

小林社長はフォックステイルをパートナーに選んだ理由について「競争が激化するインド市場で一際めだつ成長はもちろん、データに裏付けられたマーケティング力によって販売を伸ばしているなど、当社のインド戦略とは違う方向性で成長を遂げている点に引かれた。加えて、何よりロミータさんの野心の高さと誠実さに感銘を受けた。彼女はインドの小さな田舎町で育ち、そこからアメリカの大手金融機関でキャリアを積んだ後、自身の夢であった化粧品会社の立ち上げを成し遂げている。その話を聞いたときに、われわれの創業者である小林孝三郎の話を聞いている感覚になった。互いの強みを補完し合うことで成長していくことができるパートナーであると確信した」とコメントした。

ロミータ氏は、「起業に次ぎ、人生2度目の大きな決断がコーセーとの事業提携だ。コーセーは今後何世代にもわたって存在し続けるであろうブランドを手掛け、前例のない価値を生み出す企業だと、初めて顔を合わせたときに確信した。今後もグローバルに成長を続けていくコーセーの一員になれたことを大変ありがたく思う」と述べた。

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