2009年から続く「WWDBEAUTY」のベストコスメ特集では、バイヤーのアンケートをもとに本当に売れた商品を表彰する。「ベストコスメ歴代名鑑」では、15年以上続く本特集の中でも常にランキングに入賞している“傑作”をピックアップ。時代を超えて愛される理由や商品の魅力について、美容ジャーナリストの加藤智一が深掘りする。今回は「イプサ(IPSA)」の“ME”にフォーカス。
「イプサ」とは“自らの”や、“自分自身で”を意味するラテン語。現在、16種ものラインアップがそろうイプサの化粧液“ME”は、肌細胞を生き生きとした状態へ導くというコンセプトからブランド名を体現するロングセラーアイテムとなっている。
そもそも“ME”が誕生したのは、1986年のこと。ブランドのコンセプトにならい、肌の自立活性力を引き出す、メタボライジングスキンケアという発想から頭文字の英字を取り、肌タイプに応じて化粧水と乳液の機能を凝縮させた8種の化粧液を開発した。
デビュー当時から話題を呼んだのが顧客一人一人の肌をしっかりと分析する、丁寧なカウンセリング。肌の見た目はもちろん、生活習慣や現在の肌状態のヒアリング、そして独自の肌測定機器“イプサライザー”を使った肌測定により、平均で一人につき30分は時間を費やす。“イプサライザー”の飛躍的な進化に伴い、現在では肌酸素型や肌、心、体のバランスの測定など、さまざまなコンテンツがアップデート。2025年現在、スキンケアコースで肌測定における項目数は最低でも52項目。さらに、顧客の要望に応えるための深掘りしたヒアリングを追加することで、60前後に及ぶ場合もあるという。
肌測定が精緻になるにつれ、化粧液の種類もバリエーションが豊富に。1991年には12種に、99年には14種と増えていき、2020年の現行品9代目では全16種のラインアップとして完成した。