ファッション
特集 メンズ・コレクション2025-26年秋冬

「プラダ」は挑発「ゼニア」は盤石、学芸会レベルのショーには喝っ 2025-26年秋冬メンズコレ取材24時Vol.3

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INDEX
  • 10:00 「モンブラン」
  • 10:30 「ヴァレクストラ」
  • 11:00 「サイモン クラッカー」
  • 12:00 「マリアーノ」

2025-26年秋冬コレクションサーキットが開幕しました。まずはメンズからのスタートで、イタリア・フィレンツェからミラノ、パリの3都市が続きます。「WWDJAPAN」は、大塚千践「WWDJAPAN」副編集長とパリ在住のライター井上エリ、そして藪野淳・欧州通信員の大阪出身“浪速トリオ”が現地でほぼ丸一日かけて総力取材します。注目ブランドのコレクション情報はもちろん、ショーの裏側やこぼれネタなど、愛のある正直リポートをお届けします。

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10:00 「モンブラン」

2026年に創業120周年を迎える「モンブラン(MONTBLANC)」は、「旅」をテーマにしたプレゼンテーションを開きました。今季もビジネス需要に応えるさまざまな容量のブリーフケースやバックパックから、カジュアルなショルダーバッグ、ジャカードキャンバストート、ウイークエンダー、キャリーケース、クラッチ、財布、ペンケースまで、バッグやレザーグッズのバリエーションが充実しています。

ユニークだったのは、バッグ前面のファスナーを開けるとフラップのようにパカっと開き、ペンやノート、腕時計、財布などを固定できる収納部が現れるデザイン。大きなカバンだと、ペンや小物がどこに行ったか分からなくなることがよくありますが、これなら見失う心配もありませんね。

そして万年筆は、画家のルノワールや詩人のゲーテ、ロックバンドのクイーン(QUEEN)とのコラボが登場。フェラーリとの協業も継続しています。ハイエンドなアイテムとして、まるでジュエリーのように煌めく装飾的なデザインもラインアップ。そのお値段は、1本なんと数千万から1億円クラスだそうです。

10:30 「ヴァレクストラ」

ヴァレクストラ(VALEXTRA)」も今季はブランドのルーツをたどり、「旅」に着目。ハンドバッグ“バビラ”のビッグサイズや、ブリーフケーススタイルの“アヴィエッタ”、クラシックなトランク風のデザインなど、トラベルバッグに焦点を当てています。リサイクルナイロンのエコニールを用いた“アソルート”コレクションにも、ジム通いなどにも良さそうなトラベルバッグが仲間入り。昨秋のデビューから徐々にラインアップを拡充しています。

今季は「プラダ(PRADA)」や「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」のショーでもビッグバッグをたくさん見かけましたが、“デイリーラゲージ”的な提案はトレンドになるかもしれませんね。ただ、大きくなればなるほど、お値段もコワいですが……。

11:00 「サイモン クラッカー」

本日最初のショーは、「サイモン クラッカー(SIMON CRACKER)」です。ミラノ・メンズ・ファッション・ウイークに参加して5シーズン目を迎えるブランドですが、過去数シーズンは過剰なまでのDIY精神が荒っぽすぎる印象で、ファッションショーというより学芸会に参加しているような気分にさせられました。コレクションの仕上がりはデビュー間もない若手のクオリティーですが、手掛けるのはキャリア15年以上の中堅デザイナーデュオ。もしかしたら今季は覚醒してるかも、なんてわずかな期待を胸に今季もショーに参加したものの、残念ながら印象は変わらず。

今回彼らが取り組んだのは、富、虚栄心、そしてファッションの華やかな側面と現実の生活との明らかなかい離という皮肉に切り込むこと。古着のツイードジャケットに紙で作ったカメリアのブローチを付け、バッグの上から“バーキン”バッグを手描きした布をかぶせ、ビッグメゾンのアイコンを手作りのおもちゃのようなアイテムで模倣してキッチュに着飾ります。手染めしたタイダイやダメージ加工はいつもの手法で、今季はパーティー会場のデコレーションなどに使用するキラキラのホログラムテープを、タッセルやコサージュにして装飾をプラス。ウォッカボトルをラッパ飲みして足元がふらつくモデルは、ブンブン振り回すバッグの中から製品タグを落としていく演出で、最後は大量のタグを取り付けて服に見立てたラストルックが締めくくりました。

クオリティーは前述の通りではあるものの、コンセプトは明確で演出も面白く、ショーとしては楽しめました。ただ洋服が美しいとは感じられず、DIYの加工技術も廃棄布や古着のアップサイクルの手法も、クオリティーはかなり低め。ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)や、「マルニ(MARNI)」のフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)=クリエイティブ・ディレクターのクリエイションの方向性を感じさせるも、核となる美学が欠けている印象です。5シーズン経て、彼らの成長に期待するのはやめましたが、緊張感なくショーに参加できる箸休め的な存在として、次は何を見せてくれるか楽しみにしている自分がいます。

12:00 「マリアーノ」

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