ファッション
特集 CEO2025 ファッション編

【エスモードアート 祢冝裕貴CEO】人を笑顔にするビジネスを 心身健やかに暮らせる社会を目指して

INDEX
  • PROFILE: 祢冝裕貴/CEO
  • ジュエリーとフードに次ぐ基幹ブランドの開発目指す
  • 実現の可能性はゼロじゃない私の夢

PROFILE: 祢冝裕貴/CEO

祢冝裕貴/CEO
PROFILE: (ねぎ・ひろき)1978年6月28日生まれ、大阪府出身。関西学院大学大学院の経営戦略科を修了。新聞社の広告局で勤務し、ファッションイベントの運営や協賛営業、大手流通会社の広告営業を担当した。その後PR企業に転職し、CMをはじめとするメディア戦略や、タレント・モデルとの商品開発コンサルティング業に従事。2012年にジュエリーブランド「ステラハリウッド」を創業し、21年にエスモードアートを設立した PHOTO : MARIKO KOBAYASHI

表参道に実店舗を構えるジュエリーブランド「ステラハリウッド」とビーガンフードショップ「ザ ビー(THE_B)」が、20~40代の女性を中心に支持を集めている。これらを手掛けるのは、2021年創業のエスモードアート。祢冝裕貴CEOは「人を笑顔にするtoCビジネスがしたい」と話す。

ジュエリーとフードに次ぐ
基幹ブランドの開発目指す

WWD:エスモードアート創業の経緯は?

祢冝裕貴CEO(以下、祢冝):私は当社を立ち上げる以前、新聞社に広告営業として勤務したり、ファッションアイテムを扱うPR企業に所属したりしていた。どちらもtoBビジネスであり、「お客さまに直接アプローチできる事業を行いたい」という思いが高まっていたところ、ジュエリー市場に詳しい知人と共に「ステラハリウッド」をスタートした。そこから程なくしてサラダボウルやアサイーボウルを提供するカフェ「ザ ビー」もオープンし、これらを取りまとめる会社としてエスモードアートを設立した。“心身共に豊かに暮らせる社会を実現する”をミッションにしており、社名の「エス」にはソーシャルグッドなことをしたいという思いを込めて、“サステナブル”“ソーシャル”“ソリューション”などの頭文字「S」を盛り込んだ。

WWD:「ステラハリウッド」「ザ ビー」以外の事業は?

祢冝:アーティストやインフルエンサーが、アクセサリーや香水の新規ブランドを立ち上げる際のサポートもしている。そのほか、オリジナルのスキンケアブランド「ベグスキン」の企画販売や、韓国アパレルブランド「ビバスタジオ」の代理店業務を行う。

WWD:会社としての強みは?

祢冝:ファンマーケティングだ。人々は今、“誰から買うか”を重要視している。「商品の背景にいる人にどれほど共感を持てるか?」が消費者にとって購買の決め手になるし、共感を誘うアーティストやインフルエンサーをブランドの“顔”とすることで、彼らに納得度の高いショッピング体験を提供できる。私自身、広告やPRの現場にいたので、どんなアーティストやインフルエンサーが今、影響力が大きいのかは、自然に追えている。当社の社員も、ブランドとの親和性が高い魅力あふれるインフルエンサーを発掘することを得意としており、これまでに多くの協業を実施してきた。例えば「ステラハリウッド」では、24年のホリデーはジェンダーレスなイメージを打ち出したいと考え、ネットフリックスシリーズ「ボーイフレンド」で人気に火が付いた同性カップルのダイシュン(中井大&中西瞬)とコラボジュエリーを発売し、良い反響を得た。気兼ねなく提案したり、最近のトレンドなどについて意見をかったつに交換したりできる自由な社風も相まって、社員からの意見を吸い上げられている。23年3月にスタートした俳優の高橋文哉さんプロデュースのアクセサリーブランド「ブランク スペース」のように、こちらからブランド立ち上げを提案して、協業することもある。

WWD:業績は順調か?

祢冝:設立から10年以上がたつ「ステラハリウッド」は、堅調に売り上げを伸ばしてきた。卸はほとんど行わず、直営店とECで直販することによって、ブランドイメージと流通をコントロールし、少しずつ成長できる状態を作っている。映画のヒロインのように身に着ける人を輝かせるアクセサリーというコンセプトで、特にシェルパールのアイテムが人気。価格以上に見える品質とデザインのバランスが支持される要因と考えている。今後20年、30年続くブランドに育てるためには、お客さまに飽きられない状態を作る必要がある。フレグランスなど、カテゴリーを増やすことも検討している。「ザ ビー」もアサイーボウルブームを追い風に、店舗には連日行列ができており好調だ。24年12月には中目黒に2号店をオープンした。アサイーペーストなどECでの販売を強化する。食事は心身の健康を作る。お客さまに笑顔で過ごしてもらいたいと願っている。

WWD:現在の課題は?

祢冝:社員のお客さまに対する意識をさらに高めることだ。「ステラハリウッド」はECの売り上げ割合が大きく、直接顧客と接する機会が限られている。多くのお客さまに商品を手に取っていただいているにもかかわらず、その実感が持ちづらく、社員が顧客視点に立って考えることが難しいと感じている。

WWD:今後の展望は?

祢冝:現在の基幹ブランドを成長させながら、新事業の種まきを行う。具体的に25年に実施したいのは、サステナブルでウェルビーイングなブランドのローンチだ。人を笑顔にするためには、ウェルビーイング領域の強化が欠かせない。快適な生活をサポートできる着心地のよいアパレルアイテムを開発したい。また、ゆくゆくはアジア市場を中心に海外進出をしたいと考えている。韓国がエンタメやファッションの分野で勢いづいているように、日本も負けていられない。ただ、当社は、ビジネスの急成長に重きを置いていない。ゆっくり着実にお客さまのニーズに応えた上で、心身共に豊に暮らせる社会の輪を海外市場にも広げていきたい。

実現の可能性はゼロじゃない私の夢

『結婚』

独身なので結婚したい。現在、公私共に良きパートナーを見つけるため婚活中。エスモードアートは創業から3年がたち、事業数も増えて今が踏ん張りどころ。すてきな人に巡り会えれば、それが仕事に生きるはず。

COMPANY DATA
エスモードアート

2021年に祢冝裕貴CEOが設立。12年にジュエリーブランド「ステラハリウッド」を、18年にビーガンフードショップ「ザ ビー」を立ち上げたことから、両ブランドを運営する企業として始まった。現在は、これらに加えてスキンケアブランド「ベグスキン」の企画販売や韓国アパレルブランド「ビバスタジオ」の販売代理業務を手掛ける。モデルの梨花やインフルエンサーのダイシュンらとコラボ企画も実施してきた。現在の従業員数は68人で、売り上げは非公開


問い合わせ先
エスモードアート
03-6712-6461