カプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)が保有する「ヴェルサーチェ(VERSACE)」と「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」の売却について、さまざまな臆測が広まっている。情報筋によれば、両ブランドの競売が最近行われ、15社程度の買い手候補が参加。現在はその中から約半数に絞られており、2月初旬には次の入札が行われる予定だという。
買い手候補としては、以前から買収に関心を示しているとの臆測が広まっているプラダ グループ(PRADA GROUP)に加えて、グッチ(GUCCI)の社長兼最高経営責任者(CEO)を2023年9月23日付で退任したマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)の名前も浮上。同氏は24年4月に新たな投資会社ネッシファッション(NESSIFASHION)を設立し、「素晴らしいイタリアブランドに優先的に投資する」として、イタリア・ボローニャに本社を構えるブランド「エリザベッタ フランキ(ELISABETTA FRANCHI)」の株式の23%を取得している。
ほかには、ゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)を保有する投資ファンドのペルミラ(PERMILA)や、イタリアのメンズブランド「コルネリアーニ(CORNELIANI)」の株式を保有する中東の投資ファンド、インベストコープ(INVESTCORP)などが競売に参加しているようだ。なお、イタリアの財閥でフェラーリ(FERRARI)社のオーナーとしても知られるアニェッリ(Agnelli)家の投資会社エクソール(EXOR)も、当初は関心を示しているといわれていたが、その後競売への参加を止めたと見られている。
本件に関し、上述の企業やブランドからのコメントは得られなかった。
カプリが「ヴェルサーチェ」などを売却したい理由
「ヴェルサーチェ」と「ジミー チュウ」に加えて「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」を擁するカプリは23年8月、「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」を傘下に持つタペストリー(TAPESTRY)に85億ドル(約1兆3175億円)で事業を売却することに合意した。
しかし、両社が保有するブランド間の競争がなくなることで独占状態になるとし、米連邦取引委員会(FTC)は本件を停止する仮処分を求めて4月に提訴。10月に米連邦地方裁判所がFTCの申し立てを認める判決を下したことから、11月に両社は買収契約を双方の合意の上で正式に解消している。業績が悪化しているカプリは、主力の「マイケル・コース」の業績回復に注力するため、ほかの2ブランドを売却するのではないかと見る専門家も多い。両ブランドをまとめて、もしくはバラバラに売却するのかなどは明らかにされていないが、買い手の注目は「ヴェルサーチェ」に集まっているという。
ドナテラの契約期限やその後任に関するうわさも
その「ヴェルサーチェ」だが、別の情報筋によれば、同ブランドのドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーの契約が25年2月に期限を迎えるようだ。前述の通り「ヴェルサーチェ」は売却の可能性があることから、ドナテラの契約更新についてもさまざまな臆測が流れているが、「ヴェルサーチェ」は「うわさに対するコメントは差し控える」としている。なお、ドナテラがブランドを離れる場合の後任候補としては、プラダが擁する「ミュウミュウ(MIU MIU)」のデザイン・ディレクターを務めていたダリオ・ヴィターレ(Dario Vitale)が業界内で有力視されているという。