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連載 沖縄ビューティNEWS 第18回

全国で増えている「オールインクルーシブ」滞在! でも、沖縄では意外に少ない理由とは?

ホテルに関連するニュースで急激に増えているのが「オールインクルーシブ」というワード。既存のホテルが“オールインクルーシブホテル”へと生まれ変わったり、新たに“オールインクルーシブプラン”を打ち出したりと、全国的に加速度的な広がりを見せている。「オールインクルーシブ」とは、直訳で“全て込み”という意味。ホテルやプランによって内容は異なるものの、滞在時の食事や飲み物、アクティビティやスパなどを追加料金無しで楽しめるサービスだ。

「オールインクルーシブ」の代表格といえば、欧米を中心とした富裕層の会員を抱えている「クラブメッド」が有名。国内でも北海道や沖縄で事業を展開する。だが、現在、国内で誕生しているサービスは富裕層向けではなく、むしろ“お得感”をアピールする内容が多い。それは訪日客需要が高まっていることで、全国的にホテルの宿泊料金が高騰していることも一因だろう。宿泊料金に飲食代やアクティビティー代が含まれていれば、あらかじめ旅行の予算を把握しやすくなるからだ。

沖縄・「サード(THIRD)石垣島」でオールインクルーシブを提供しているスターリゾートの大森空マーケティング マネージャーは、その魅力を「グループ旅行やお子さま連れなど、複数名でご宿泊いただく場合でも、財布を気にせずに楽しめること」と語る。「加えて、『サード石垣島」は滞在そのものが旅の目的となるような“デスティネーションホテル”をコンセプトにしています。石垣島はリゾートホテルが多いこともあり、こうした特別感のある内容で差別化を図ることで選んでいただくことも多い」と話す。

また、2024年4月から、オールインクルーシブでサービスを提供しているホテル「グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート」のカン・ジホ総支配人も「宿泊代に夕食と朝食、ラウンジでのドリンクやお菓子、大浴場、県内最大級のプール、ビーチアクティビティーの利用などが含まれます(*ランチを除く、一部有料)。滞在を存分に楽しんでいただくことで、その土地の自然、文化、伝統といった魅力を感じていただきたい」とアピールする。

ただ、「オールインクルーシブ」が全国的に広がりを見せている一方、沖縄県内で導入しているホテルは前述した2施設が主で意外に少ない。その理由を大森マーケティング マネージャーは「沖縄はさまざまな観光スポットやアクティビティーが充実しているから」と推測する。

「本島には『美ら海水族館』やジップラインやバギー体験などさまざまなアクティビティーがあり、沖縄料理店も豊富。石垣島でもマリンアクティビティーはもちろん、アーケード商店街や日帰りの離島観光などさまざまな選択肢があるため、ホテルで滞在する時間はどうしても限られてしまう」と観光立県ならではの特徴を挙げる。

とはいえ、ホテル側も企画力で勝負している。「『サード石垣島』ではお子さま連れのゲストのために、離乳食やオムツの使い放題などをパッケージにした『赤ちゃんオールインクルーシブ』を用意しました。ベビー用品のレンタルも行っており、大変ご好評いただいています。また、弊社が運営している全室プライベートプール付きリゾート『アヤンナ宮古島』では、オフシーズンである冬季に限り、食事やインルームフリーフロー(飲み放題)、ルームエステ、アクティビティーなどを含んだオールインクルーシブプランを提供しています。冬季だからこそ、ゆったりとホテル滞在を楽しんでいただけるプランになります」(大森マーケティング マネージャー)。

25年も県内では本島南部「インナーコンチネンタル沖縄美らSUNリゾート」や、ラグジュアリーリゾーツ「ローズウッド宮古島」など、リゾートホテルの新規開業・リニューアルが相次ぐ。しかし、りゅうぎん総合研究所によると「25年度までの宿泊施設の需給バランスを考察すると、将来的に宿泊施設の供給過多となる可能性が高い」と推計。ホテルの過当競争をもたらす可能性を示唆する。

「オールインクルーシブ」のようなサービスは、時としてホテル側にとっては利益率や宿泊料金の単価が下がってしまう可能性はある。しかし、県内ではリゾートホテルがひしめくなか、「オールインクルーシブ」をたとえば追加サービスや限定企画などとして提供すれば、既存のホテルにとっては話題性を喚起したり、顧客価値を高めたりするためのカギになるはずだ。

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