J.フロント リテイリング(JFR)は31日、子会社を通じて大阪・心斎橋の銀行跡地の再開発に参画すると発表した。現在の建物を解体した後、低層店舗を2028年末に開く。有力ブランドの旗艦店を誘致する。
再開発の対象は、御堂筋を挟んで大丸心斎橋店と心斎橋パルコの斜向かいにある心斎橋ビル(旧関西アーバン銀行本社)の土地・建物。敷地面積は約2300平方メートルに、現在、16階建てのオフィスビルが建っている。再開発は、子会社J.フロント都市開発が大阪メトロ、関西みらい銀行、アサヒプロパティズと共に出資する特定目的会社が主導する。出資額や出資比率は非公開。
低層店舗は一等地の利用効率からすれば不釣り合いだが、建築費高騰や人手不足による工期遅れと、訪日客が殺到して店舗の空室率がゼロという心斎橋エリアの状況を鑑み、再開発のスピードを優先させた。将来の高層化も視野に入れる。
JFRは心斎橋エリアを長期的な戦略拠点と位置づけ、大丸心斎橋店と心斎橋パルコの周辺開発を積極的に進めている。御堂筋と長堀通の交差点の角地では、LVMHの不動産開発投資会社と共に「(仮称)心斎橋プロジェクト」を26年開業予定で建設中だ。また24年7月には大丸心斎橋店・南館の土地・建物を保有する会社を子会社化した。エリアの回遊性を高めて、大型商業施設が林立する梅田や難波に対抗する。