オートクチュールのライン「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVE)」は2005年、ブランド創設30周年を機にスタートしたものという。あれから20年、ブランド自体も50周年を迎えた、91歳のジョルジオ・アルマーニが見せた2025年春夏コレクションは、TikTokなどのエフェクトをはるかに凌ぐほど、洋服自体が眩く煌めく、時代も、空間も超越したオリエンタルなドレス94体だった。
儚くはあるものの、一方で何にも遮られることのない煌めきを讃えたら、時代も、空間も、もしかしたら思想さえ超越できるのではないか?そう信じたアルマーニは、近年オートクチュール・コレクションで傾倒するオリエンタルへの探求を深めた。サンドやヌードの色彩は、西アジアや北アフリカから。そこにインドを中心とする南アジアが得意とする華麗な装飾を加え、日本を含む東アジアに特有のミニマルなラインのノーカラージャケットや楊柳のパンツ、そしてドレスに仕上げる。素肌の上に纏った、極細の糸で編み上げたプルオーバーニットや、ペンシルラインのスカートは、まさにヴェールのよう。ダッチェスサテンやブロケードが光を優しく反射する一方、最後に加えた装飾は歩くたびに明滅を繰り返して大袈裟ではなくピカピカ光っている。スマホの画面越しに見ると、まるでSNSのエフェクトのようだ。アクセサリーは、バッグで陽の光と戯れる一方、ヘッドピースは月の光を優しく増幅するイメージ。煌めき方は多種多様だ。
リーンでしなやかなシルエットで女性の柔らかさを掻き立てつつ、まるで宝石のように自ら輝きを放つスタイルの数々は、まさに普遍的な存在だろう。そして、この普遍性こそが「ジョルジオ アルマーニ」が50年間、「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」が20年間探求し、これからも追求し続けるスタイルなのだと思う。