ファッション
特集 メンズ・コレクション2025-26年秋冬

「サカイ」がいざなうワイルドな冒険の旅 「カーハートWIP」や「アグ」とともに砂漠へ

INDEX
  • 出発点は「かいじゅうたちのいるところ」
  • テーラリング、ストリート、アウトドアを自由にミックス
  • 際立つ立体的なシルエット
  • コレクションを彩る“仲間”とのコラボ

サカイ(SACAI)」はパリ・メンズ・ファッション・ウイーク最終日の1月26日、2025-26年秋冬メンズ・コレクションのショーを開催し、ウィメンズの25年プレ・フォールと合わせて新作を見せた。会場は、パレ・ド・トーキョー。砂漠の風景写真で囲まれた巨大な空間を用意し、パワフルなショーで観客をワイルドな冒険の旅へといざなった。

出発点は「かいじゅうたちのいるところ」

今季の出発点は、モーリス・センダック(Maurice Sendak)によるベストセラーの絵本を元にした実写映画「かいじゅうたちのいるところ(Where the Wild Things Are)」。家出したイタズラ好きのやんちゃな少年がボートを漕いでたどり着いた島での “かいじゅう”たちと出会いとふれあいを描いた物語だ。「私たちがずっと大切にしている仲間を描いているところに惹かれた」という阿部千登勢デザイナーは、そこから自然という概念にまつわる アイデアを探求。「自然の中で生きる」ということに加え、「既成概念にとらわれない思考、そして抑制されない情熱と感情の本質」を表現した。

テーラリング、ストリート、アウトドアを自由にミックス

ファーストルックは、ラペルの内部構造をあらわにしたようなデザインが特徴的な二重のテーラードジャケットに、同素材のパンツを合わせたコーデュロイのスーツスタイル。そこに毛足の長いファー再現したニットカーディガンを首から肩に巻きつけ、ワイルドなムードを醸し出す。このまるで獣毛のようなニットファーは今季を象徴する表現の一つで、ニットやアウターにあしらったり、テーラードジャケットの袖口から飛び出ていたり。そのほか、シアリングやボア、人工ファーもさまざまなアイテムに取り入れた。

今季のスタイルは、「硬くなく、着やすいように仕上げている」というテーラリングと、カジュアルなストリート、そして自然を感じるアウトドアの自由なミックスが効いている。なかでも、アウターはバリエーション豊富。前述の2枚重ねになったようなテーラードジャケットやチェスターコート、トレンチコートから、ピーコート、バーシティージャケット、デニムジャケット、ダウンジャケット、フライトブルゾン、テックジャケット、マウンテンパーカ、レザージャケット、シアリングコートまでがそろう。

際立つ立体的なシルエット

また、新たなシルエットの探求も続けており、立体なデザインが際立つ。パンツは25年春夏に見せたサイドポケットが張り出すデザインをアップデート。フラップがついたカーゴポケットのようなデザインに変わり、ユーティリティー感を加えた。それに加え、今季はコートやニットにも腰下に立体的にポケットを形作ったデザインも登場。一方、ウィメンズのスカートは構築的なシェイプに仕上げたり、裾に別の生地を加えてドラマチックな動きを出したり。見慣れたシャツやデニムジャケットも部分的に折りたたんで縫い合わせることでアシンメトリーなシルエットを生み出している。

カラーパレットは、ブラウンやオリーブなど自然に通じる色合いが中心。深い赤や緑、紺をベースにしたカーペットに見られるようなエキゾチックな柄がアクセントになる。また、スノーゴーグルやモコモコしたシアリング帽、登山用バックパック、クライミングロープを編み込んだストラップ付きの水筒などのアクセサリーが、アウトドアのイメージを強めている。

コレクションを彩る“仲間”とのコラボ

「サカイ」は毎シーズン、メンズのショーで他ブランドとのコラボレーションを発表するが、今季は「カーハートWIP(CARHARTT WIP)」「アグ(UGG)」「ジェイエムウエストン(J.M.WESTON)」とタッグを組んだ。2023-24年秋冬、24年春夏に続き3度目となる「カーハートWIP」とのコラボでは、同ブランドを象徴するウォッシュドキャンバスを「サカイ」のシグネチャーであるニットとハイブリッドしたほか、レザージャケットやダウンジャケットも提案。18-19年秋冬以来7年ぶりに取り組む「アグ」とは、折り返して履くこともできる「サカイ」らしいサイハイブーツに加え、ローファーとハイカーブーツを制作した。また、24-25年秋冬、25年春夏に続いて協業する「ジェイエムウエストン」とは、同ブランドのレースアップブーツやローファーをカウプリントでアレンジした。

多彩なコラボを大切にする理由について、阿部デザイナーは「チャンネルが違っても一緒に取り組むことで、お互いに新しさをもたらせるから。私たちが持っていないアイデアや歴史を学ぶことができ、私たちだけでは作れないものを生み出すことができる」と説明。そんなパートナーたちは彼女にとっての仲間であり、「仲間と共に、いい意味でワイルドサイドを歩こうということを伝えたかった」と振り返った。それは、まだ見ぬ景色を見るために挑戦し、前進し続ける阿部デザイナーの姿勢に重なる。

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