2025-26年秋冬コレクションサーキットが開幕しました。まずはメンズからのスタートで、イタリア・フィレンツェからミラノ、パリの3都市が続きます。「WWDJAPAN」は、大塚千践「WWDJAPAN」副編集長とパリ在住のライター井上エリ、そして藪野淳・欧州通信員の大阪出身“浪速トリオ”が現地でほぼ丸一日かけて総力取材します。注目ブランドのコレクション情報はもちろん、ショーの裏側やこぼれネタなど、愛のある正直リポートをお届けします。
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10:00 「ドリス ヴァン ノッテン」
本日は展示会から穏やかにスタートです。と、いうはずでした。ただ、新体制の「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」のメンズ・コレクションがあまりに刺激的で朝から心が揺さぶられます。だって、想像とは全然違うんだもの。今シーズンはスタジオチームがデザインを手掛け、新クリエイティブ・ディレクターのジュリアン・クロスナー(Julian Klausner)がディレクションしています。本格デビューは3月に披露するウィメンズ・コレクションとはいえ、今回のクリエイションの方向性には大きく関わっているはず。そのつもりで今季のメンズを見ると、かなり大胆な変化の兆しが見られました。
まず、巨大なラバリエールに驚いた人も多いのではないでしょうか。ウィメンズチーム出身のクロスナー=クリエイティブ・ディレクターらしい発想を柔軟に取り入れ、制約の多いメンズのユニホームを妖艶に解きほぐしていきます。“歴史的境界を超えて”と題したコレクションのインスピレーション源は、ウィリアム・S・バロウズ(William Seward Burroughs)の小説「ワイルド・ボーイズ(The Wild Boys)」と、2017年に映画化した同名の作品です。良家で容姿端麗に生まれた不良少年たちが南の島で幻覚に落ち、ジェンダーやあらゆる境界線が曖昧になっていく様子をコレクションで描きます。女性用ドレスのように膨らんだ袖はクラシックなアウターに採用し、無骨バイカージャケットには可憐な花を描きます。スリムなショーツはタイツと白ソックスを合わせたドキッとするスタイリングで、“男らしさ”の価値観を問う提案の連打。個人的にも大好きな写真家ウィリー・ヴァンデルペール(Willy Vanderperre)の写真も相まって、かなり妖艶な印象が先行するコレクションではあるものの、創業デザイナーが培ってきた手仕事の美しい装飾も随所に継承していました。好き嫌いが分かれるコレクションではありますが、新しい「ドリス ヴァン ノッテン」の解釈として、3月の本格デビューがさらに待ち遠しくなりました。
11:00 「アイム メン」
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