カニエ・ウェスト(Kanye West)ことイェ(Ye)が、度重なる反ユダヤ主義的行動や人種差別的発言を行なったことで物議を醸している。
イェは2月9日(現地時間)、「第59回NFLスーパーボウル」の一部地域のCM放送枠を自腹で買い取り、自身のブランド「イージー(YEEZY)」のスポットCMを放映。このCMは、歯科医院の診察台に座ったイェがiPhoneで自撮りしながら、「やぁ、俺はイェだ。CM制作費は、全て新しい歯に使ってしまった。だから、こうしてiPhoneで撮影している。とりあえず、『イージー』のサイトをチェックしてほしい」と話し、視聴者に対して「イージー」の公式オンラインストアへの訪問を促すものだった。
その直後、それまで掲載されていたアパレルやスニーカーの販売が全て取り下げられ、“ヒトラー万歳”を意味する“ハイル・ヒトラー(Heil Hitler)”の型番“HH-01”を冠し、ナチスのハーケンクロイツ(鉤十字)をあしらった白いTシャツのみを20ドル(約3000円)で販売開始。また、X(旧ツイッター)のアカウントでは1週間ほど前から、「私はナチスだ」や「アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)を愛している」などナチス礼賛のポストを連投していたほか、性行為目的の人身売買などの疑いで逮捕されていたヒップホップ界の大物ショーン・コムズ(Sean Combs)の釈放を求め、最終的に「俺は人種差別主義者だ」と言い切っていたのだ。
イェの代理人も「有害で憎しみに満ちた発言に耐えられない」と契約解除
これを受け、アメリカ合衆国最大のユダヤ人団体「名誉毀損防止同盟(Anti-Defamation League、以下ADL)」は、「あのTシャツは、20世紀にヒトラーが自身の支持者を鼓舞したシンボルを用い、現在も反ユダヤ主義と白人至上主義による脅威を拡散し続けるものだ。SNSで反ユダヤ的な投稿を繰り返す行為は、いかなる理由をもってしても正当化できない」をイェを強く非難し、ジョナサン・グリーンブラット(Jonathan Greenblatt)ADL代表は、「またしても、イェによる露骨な反ユダヤ主義、人種差別、女性蔑視の投稿がSNS上で見られた。2022年には、彼の発言を機に反ユダヤ的事件が全米で30件発生していた」とコメント。また、音楽エージェントのダニエル・マッカートニー(Daniel McCartney)も、「今後、私はイェの代理を務めない。彼の有害で憎しみに満ちた発言には、もう耐えられない」とパートナーシップ契約の解除を明らかにした。
近日中に店舗をオープン?
騒動後、イェのXのアカウントと「イージー」の公式オンラインストアは無効化されて閲覧できなくなっていたが、2月14日現在は復活。公式オンラインストアには、“YEEZY STORES COMING SOON(イージー・ストアズ・カミング・スーン)”と手書きの文字が表示され、店舗のオープンを示唆している。