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BUMP OF CHICKEN・直井由文、「TRIGGER」、「GR8」、「GEEKS RULE」の豪華コラボによるアニメ「キルラキル」Tシャツ制作の裏側を語る

INDEX
  • 「TRIGGER」「ギークス ルール」「グレイト」とのコラボの裏側
  • 3パターンの絵柄について
  • 「ギークス ルール」初のシルクスクリーンポスター
  • キービジュアルには、あのがモデルとして登場
  • 「キルラキル」の魅力
  • 「ギークス ルール」は“技術オタク”

「ギークス ルール(GEEKS RULE)」の最新作として、アニメーション作品「キルラキル」とのTシャツ(3型)とシルクスクリーンポスター(100部限定)が、2月22日から「グレイト(GR8)」で、24日から「ギークス ルール」で販売される。

「キルラキル」は2013年にアニメーションスタジオ「TRIGGER(トリガー)」初のオリジナルTVアニメ作品として制作されたもので、今回放送時から大ファンで、いつかTシャツを作りたかったというBUMP OF CHICKENのベーシスト・直井由文の呼びかけにより、「TRIGGER」「グレイト」「ギークス ルール」がコラボレーションして、企画が実現した。

また、キービジュアルに直井と以前から親交があったというあのを起用し、「キルラキル」の主人公、纏流子(まとい・りゅうこ)の世界観を表現した。

本プロジェクトについて、発起人となったBUMP OF CHICKENの直井由文と、「TRIGGER」の若林広海(クリエイティブプロデューサー)、「グレイト」の高橋善将(スペシャルプロジェクトマネージャー)、「ギークス ルール」の畠中一樹の4人に話を聞いた。

「TRIGGER」「ギークス ルール」「グレイト」とのコラボの裏側

WWD:今回、チャマ(直井)さんが「キルラキル」のTシャツを作ろうと思った経緯から教えてもらえますか。

直井由文(以下、直井):知らない人からしたら、「何でこの組み合わせなの」っていうのがあると思うので、詳しく話しますね。

もともと僕は子どもの頃からアニメ全般が好きだったんですが、中でも「TRIGGER」が制作した「キルラキル」というアニメがすごい好きで、いつかはこの作品のTシャツを作りたいなとずっと思っていたんです。それで「作りたい」って友達に言っていたら、その内の1人から連絡が来て、「キルラキル」でキャラクターデザインを担当したアニメーターのすしおさんを紹介してくれて。実際にすしおさんとお会いした時に、「キルラキル」の話をしたら、「TRIGGER」の若林さんの連絡先を教えてくれて、すぐに連絡をしました。

WWD:それはどれぐらい前だったんですか?

若林広海(以下、若林):確か映画の「プロメア」を作っている時だから2018年ごろだったと思います。

直井:若林さんと最初に会った時に「キルラキル」のTシャツを作らせてほしいと伝えたら、すぐ「いいんじゃないですか」って返事をくれて。そこから「こんな絵柄を使って、できればビンテージみたいなかっこいいTシャツを作りたい」とずっと考えていました。自分もインディーズ時代からBUMP OF CHICKENのグッズ制作を担当していたので、物を作ることは好きだったんですけど、「キルラキル」のTシャツに関しては、満足のいくクオリティーのものは自分だけでは作れないなと思っていて。

そこで「グレイト」の高橋くんの登場で、彼とはかなり付き合いが長くて。最初に会ったのって、10年以上前だよね?

高橋善将(以下、高橋):多分2014年くらいでしたよね。

直井:だから10年以上の付き合いなんですが、その高橋くんが去年の4月に渋谷パルコでやっていた「ギークス ルール」の展示に連れて行ってくれて、(「ギークス ルール」の)畠中さんを紹介してくれたんです。そこからこのプロジェクトが本格的に始まって、今回ようやく念願のTシャツが完成した。

畠中一樹(以下、畠中):「ギークス ルール」は、これまでは1990年代〜2000年代初頭のアニメ作品がメインなので、「キルラキル」はそれらと比べると比較的新しめの作品なんです。だから、なんで今回「ギークス ルール」が「キルラキル」のTシャツを作るのかっていうと、それはチャマさんからのオファーがあったからなんです。

直井:そこは、僕としてもしっかりと伝えておきたいですね。その上で、デザインにもちゃんと「ギークス ルール」のルールを入れていて、ファーストビジュアルを選ぶとか、ファッションとしても楽しめるとかは、しっかりと考えて作りました。

WWD:もともとは5年前からずっと考えていた企画だったんですね。

直井:そうです。ただ自分が「キルラキル」を好きで、このTシャツが欲しかったからっていうだけで、今回3人に協力してもらって、ようやく実現できて、めちゃくちゃ嬉しいですね。だから仕事というよりも趣味に近くて、感覚としては“公式同人誌”を作るみたいなノリでやっているプロジェクトです。

WWD:若林さんは最初にチャマさんから話があって、すぐOKだったんですね。

若林:「キルラキル」は2013年に放送されたアニメなんですが、今このタイミングで、チャマさんがプロデュースしたTシャツを出すのって、意味分からないじゃないですか(笑)。でも、そこが逆に面白いなと思って。チャマさんくらい「キルラキル」愛が強い方が作ったTシャツなら、作品のファンの方々にも受け入れてもらえると思いました。

直井:自分が10代のころは、アニメTシャツを着ていたらすごくバカにされたんですよ。今はそれがビンテージで人気になったりもしていますが、それに大きく貢献してきたのが「グレイト」と「ギークス ルール」だと思っていて。高橋くんとはずっと一緒に何かやりたいねって話していて、それが10年越しくらいでかなう。「キルラキル」は洋服をテーマにしたアニメなんですけど、そのTシャツを今回このスタッフで作れたのは、自分的にはめちゃくちゃ感慨深いんですよね。

3パターンの絵柄について

WWD:チャマさんと「ギークス ルール」の畠中さんが去年の4月に出会って、すぐ制作に入ったんですか?

畠中:そうですね。渋谷パルコの会場でお会いして、すぐ今回のプロジェクトに関わる全員が集まる場をセッティングしてもらって、そこから動き出しました。

直井:みんな集合だって言って(笑)。僕は全員と面識がありましたけど、若林さんは畠中さんや高橋くんとは初対面だったりするので、最初はそれぞれを紹介してっていう感じで。

WWD:今回、3パターンの絵柄が発売されますが、どう決めたんですか?

若林:最初の会議に僕が「キルラキル」のイラストの全データが入っているハードディスクを持っていって、そのイラストを見ながら「どれを使いたいですか?」って聞いて、みんなで話し合いましたね。

直井:メイン(vol.1)となっているのは、「キルラキル」のファーストビジュアルのポスターのイラストなんですけど、これは絶対に作りたいって思っていたので、まずはこれを決めて。あとはみんなでいろんなイラストを見ながら、「これもいいよね」って言いながら楽しんで決めていきました。

直井:でも、この2つ目(vol.2)は確かここの4人が選んでないイラストだよね?

畠中:そうですね。これは雑誌用に描き下ろされたビジュアルなんですが、うちのデザイナーが、「これかっこいいんじゃないか」って選んで作ってきたデザインです。それで皆さんに見せたら、気に入っていただけて。

直井:今回、このTシャツだけバックプリントがあって、唯一日本語で「キルラキル」って書かれているんです。他のTシャツは「KILL la KILL」が英語になっているんですけど、それは海外で配信された時に使っていた英語ロゴで。この英語ロゴのTシャツは日本では見たことがなかったので、これを使いたいって若林さんに話して。でも、このロゴを使うのもまた別の許可が必要で大変だったんだよね。

若林:この英語ロゴは基本的には海外商品用に使用していたもので、国内の商品では日本語ロゴを使うルールになっていました。なので、ライツ担当の方へチャマさんのデザイン意図をお伝えして今回特別に許可を出してもらいました。

直井:英語ロゴを使いたかった理由の一つとして、「キルラキル」を知らない人にも「キルラキル」のTシャツを届けたいという想いがあって、だからファッション好きが着たいと思えるデザインにしたかった。日本語ロゴよりかは着やすいかなと思って。あと日本人の「キルラキル」ファンからすると、この英語ロゴのTシャツがようやく手に入るっていうのがめちゃくちゃ熱い。

若林:3つ目(vol.3)は「月刊ニュータイプ」というアニメ雑誌の表紙に使われたイラストですね。

畠中:確かすしおさんが大好きだった「アキラ(AKIRA)」をオマージュして描いたイラストなんですよね。あのよく見る金田のビジュアルをリスペクトを込めて描いたイラストで、そういう部分も含めていいなと思って。

WWD:なるほど。最初、そのハードディスクにはどれくらい絵柄があったんですか?

若林:多分世に出ている「キルラキル」の公式版権イラストは全て入っていたので、選びたい放題ではありました。でも、特に説明したわけではないですが、結果的に全部すしおさんが描いたイラストになったのが個人的に面白かったですね(笑)。他のアニメーターが描いたイラストもたくさんあったんですけど、やっぱりすしおさんのイラストを選ぶんだなって。

直井:やっぱり自然とすしおさんのイラストを選んでいましたね。

WWD:最近は、アニメのビンテージTシャツってかなり高騰していると思うんですが、「キルラキル」は特にそういうビンテージ市場でも人気なんですか?

直井:どうだろう。「キルラキル」はもともと公式のアパレル商品が少ないんですよね。ブート系も少ないですし。だからそういったビンテージとしての市場価値っていうところは一切考えてないです。最近は原作を知らなくても、アニメTシャツを着る若い人もいるじゃないですか。Tシャツを通して、もしかしたらアニメを見てくれるんじゃないかっていう想いもあるので、別に「キルラキル」を知らない人でも「かっこいい」と思って、着てほしいんです。

「ギークス ルール」初のシルクスクリーンポスター

WWD:今回シルクスクリーンのポスターも100部限定で販売します。「ギークス ルール」では初のシルクスクリーンポスターですよね。

直井:これも僕が作りたいって言ったんです。昔のアニメって意外とポスターがなくて。今回こんな素晴らしいスタッフと一緒に公式でやらせてもらえているので、絶対にポスターも残したいなと思って。

それで「モノクロのドット絵でシルクスクリーンのポスターを作りたい」って言ったら、全部畠中さんが用意してくれて。実物見たんですけど、めちゃくちゃかっこいいんで、ぜひ、「グレイト」で実際のポスターを見てほしいです。

畠中:これは、横尾(忠則)さんや田名網(敬一)さんなどの作品を手掛けてきた版画工房「360°GRAPHICS」で作ってもらったんですが、そこが独自に開発した技法のネオ・シルクスクリーンというシルクスクリーン印刷とジークレー印刷を組み合わせた手法でプリントしています。全部にシリアルナンバーが入っていて、サイズは部屋に飾りやすいB3(横364mm×縦515mm)ですね。

WWD:Tシャツやポスターのデザインが固まったのって大体いつごろでしたか?

畠中:去年の6月にはデザインが固まって。そこからイラストの許可取りやプリントの色の調整とかで時間がかかって。

直井:そんな前だっけ。すごくかかったよね。本当はもっと早く出す予定だったんです。

若林:ちょうど去年の7月から今年の2月17日まで「天元突破グレンラガン対キルラキル展」っていう原画展を、全国を回りながらやっていたんで、そのタイミングに出るといいよねみたいな話でしたよね。

直井:全然間に合わなかった(笑)。でも、それでも若林さんがチームにいてくれたから、実際にサンプルを見ながら「ここは少し違うんじゃないですか」とか話せたのは、本当に良かった。伝言ゲームにはならないし、そこの時間的ロスはなかったので。

畠中:色に関しては、本当に細かいところまでこだわっていて、制服の赤いリボンや「鮮血」の目の色とか、多分遠目で見たら分からないぐらいのところなんですけど、そこを微調整していって。やっぱり作品の根幹に関わるところなんで。

直井:みんなアニメーターさんのことをめっちゃリスペクトしているんで。当たり前の話ですけど、ここまでの絵を描くには、努力プラス才能、あと情熱が必要だと思うので。だから、僕らもそこは妥協できなかったし、自分にとってはこのTシャツ自体、値段がつけられないほど価値があって、アートだと思っています。

キービジュアルには、あのがモデルとして登場

WWD:キービジュアルにはモデルとしてあのさんが出ていますが、起用の理由は?

直井:今回は、すっごい真剣にふざけたくて。だから本当に仲がいい人だけでやりたいっていうのが大前提としてあって、昔から交友があるあのちゃんにお願いしました。そしたら、すぐOKの連絡がきて。あのちゃんからしたら、俺がなんで「キルラキル」のTシャツを作ってるのか意味が分かんなかったと思うけど、本当に忙しい中、1時間だけ撮影の時間をもらえて。あのちゃんは「キルラキル」を知らなかったと思うんですけど、メイクも主人公の纏流子に寄せてくれて、完璧でした。撮影もフォトグラファーはBUMP OF CHICKENでもお世話になっている太田好治(よしはる)さん、スタイリストも普段からBUMP OF CHICKENのスタイリングをやってくれている髙田勇人(はやと)さんにお願いして。みんなで楽しく撮影しました。

「キルラキル」の魅力

WWD:話を聞いているとチャマさんの「キルラキル」愛がすごく伝わってきますが、「キルラキル」のどこにハマったんですか。

直井:纏流子っていうキャラクターがめちゃくちゃ魅力的なのも大きいんですが、内容も「キルラキル」は当時リアルタイムで見ていて、「これをテレビで放送するんだ」っていう衝撃があって。テレビアニメって制作時間も短いだろうし、制限も多い中で、毎回驚きの連続で。なんだろう、大ふざけを真剣にやっている感じなんですが、それでいて、監督を今石(洋之)さん、シリーズ構成・脚本を中島(かずき)さん、キャラクターデザインをすしおさんが担当していて、アニメとしてのクオリティーがめちゃくちゃ高い。ストーリーもふざけた部分もありつつ、最終的に哲学なんです。「服を着るってどういうことなんだろう」っていう。だから今回は「グレイト」での販売は絶対にやりたかったんです。

WWD:販売方法としては、2月22日11時から「グレイト」の店頭で販売して、23日10時から「グレイト」のオンラインで販売、24日12時から「ギークス ルール」のオンラインで抽選販売を行うと?

直井:そうですね。ただ、この“Vol.3”のデザインのTシャツだけは「ギークス ルール」のオンライン限定で販売します。

若林:「キルラキル」は特に北米のファンが多いタイトルなので、海外のファンの方々にはオンラインで手に入れてほしいですね。

畠中:そういや何で北米でも人気があるんですかね?

若林:すごくマニアックな話になっちゃうんですけど、「TRIGGER」が立ち上がったのがちょうどアメリカで日本のアニメが本当に盛り上がり始めたタイミングだったんです。僕らが「GAINAX(ガイナックス)」を出て「TRIGGER」を作って、これから海外でもアニメを盛り上げるぞっていうタイミングで世に出したのがこの「キルラキル」でした。もともと同じ監督と脚本家のチームで制作した「天元突破グレンラガン」という作品が北米ですごく人気あって。それと同じチームが新しいスタジオで新しいアニメを作るっていうので、海外でも注目を浴びていました。今って基本的にアニメ制作はデジタルでの作業がメインなんですけど「キルラキル」はアニメーション作画も背景美術も手描きにこだわっていたんです。キャラクターやストーリーは昭和の少年漫画のカルチャーが入っていたりしてレトロな雰囲気がありつつ、映像自体は当時の最新技術でカッコいいアニメーションが見れる。だから、当時海外のアニメファンからは「これまで見たことないジャンルのアニメだ!」とよく言われてましたね。

「ギークス ルール」は“技術オタク”

WWD:「グレイト」で、アニメTを売る時のお客さんの反応はどんな感じなんですか。

高橋:「ギークス ルール」と一緒に仕事させていただくことで、普段うちで取り扱っているブランドを着ながら、アニメTも着るっていう感じで、ファッションとしてアニメTを着る人が増えましたね。「ギークス ルール」とは最初の「新世紀エヴァンゲリオン」の時から一緒に取り組みをさせてもらっていますが、やる度に反響があって、すごい人気です。

直井:本当にアニメTシャツって、イラストの破壊力がすごくて、それをかっこよく仕上げるって難しいんだよね。でも、それをやっているのが「ギークス ルール」で。「ギークス ルール」は90年代とかの海外のブートの雰囲気を、日本の技術で忠実に表現している。しかも15版も重ねていて、普通汗かいたらベタってなっちゃうんですけど、「ギークス ルール」は重くなくてベタってしないんですよ。それでいて、絶妙な色もしっかりと表現していて、人気の秘訣は技術力なんだと思う。

畠中:本当にチャマさんの言う通りで。「ギークス ルール」の「ギークス」ってみんな「アニメオタク」の意味だと思っているんですけど、実は「技術オタク」の意味でつけたんです。かなり技術にこだわっているので、そこに注目してもらえたのはめちゃくちゃありがたいです。

直井:いつも「ギークス ルール」のTシャツを見て、これはどうやって作ってるんだろう、とずっと思っていて。自分たちでもやろうとしたけど、元のグラフィックのデータを作る時点で印刷のことまで考えて作らないと同じようにはできなくて。それをするにはいろんなことを考慮しながらやらないといけなくて、簡単にはできない。だから実はめちゃくちゃすごいことをやっているんです。本当に今回のプロジェクトに関わっているのは全員、それぞれの業種のオタクなんですよ。まだ「ギークス ルール」のアイテムを見たことない人は、ぜひ「グレイト」の店頭でその技術力を見てみてほしい。

WWD:最後に、今後もこのプロジェクトは継続的にやっていくんですか?

直井:確約はできないんですけど、やりたいことはいろいろあるんで、楽しみにしておいてくださいって感じです。

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