「スリーコインズ」「カスタネ」「チャオパニックティピー」などを展開するパルは、2026年4月から新卒社員の初任給を約30万円に引き上げる。現状は大学・大学院卒で23万4000円、短大・専門学校卒で22万7000円だが、引き上げ後は大学・大学院卒で30万円、短大・専門学校卒で29万3000円となり、約3割のアップとなる。既存の社員も26年3月から6万円台のベースアップを実施して、足並みをそろえる。
少子化によって新卒採用は業種を超えた争奪戦になっており、金融やメーカーなど初任給30万円を打ち出す大手企業は増えている。アパレル業界では「ユニクロ」「ジーユー」を運営するファーストリテイリングが新卒初任給を23年に30万円に、25年に33万円に引き上げた。TOKYO BASEも初任給を40万円に設定して大きな話題になっていた。パルの動きはこれらに続くものになる。
「パルは新卒で毎年300人前後の採用計画を立てているが、最近は(異業種が初任給を大幅アップする中)苦戦を強いられていた。将来を担う人材を確保するためにも、初任給30万円は避けて通れないと判断した」(為田招志・パルグループホールディングス専務執行役員広報室長)。
賃上げを支えるのはパルグループHDの好業績だ。連結業績はコロナ前の20年2月期実績が売上高1321億円、営業利益90億円だったのに対し、25年2月期見通しは売上高2092億円、営業利益229億円。収益性が改善され、人件費をアップする余力が生まれている。