タペストリー(TAPESTRY)は2月19日、傘下に持つ「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」を、米フットウエアメーカーのカラレス(CALERES)に1億500万ドル(約159億円)で売却した。取引は今夏に完了する見込み。
「スチュアート・ワイツマン」は、1986年にニューヨークで創業。2015年に、タペストリーは当時同ブランドを保有していた米投資会社シカモア・パートナーズ(SYCAMORE PARTNERS)から5億7400万ドル(約872億円)で買収した。タペストリーはほかに「コーチ(COACH)」と「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」を保有しており、23年8月には「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」を擁するカプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)を85億ドル(約1兆2070億円)で買収することに合意した。しかし、両社が保有するブランド間の競争がなくなることで独占状態になるとし、米連邦取引委員会(FTC)は本件を停止する仮処分を求めて24年4月に提訴。10月に米連邦地方裁判所がFTCの申し立てを認める判決を下したことから、11月に両社は買収契約を双方の合意の上で正式に解消している。
なお、24年9月の段階で、タペストリーが「スチュアート・ワイツマン」の売却を検討しているという情報筋の話が複数の海外メディアで報じられていた。
カラレスについて
カラレスは1878年、米ミズーリ州セントルイスで靴店のブライアン・ブラウン・アンド・カンパニー(BRYAN, BROWN & COMPANY)として創業。靴の製造販売会社として事業を拡大し、現在は「ドクター ショール(DR. SCHOLL'S SHOES)」「フェイマス フットウエア(FAMOUS FOOTWEAR)」「サム エデルマン(SAM EDELMAN)」「アレン エドモンズ(ALLEN EDMONDS)」「バイオニック(VIONIC)」などのブランドを運営している。
ジョアン・クレヴォイセラ=タペストリーCEOのコメント
ジョアン・クレヴォイセラ(Joanne Crevoiserat)=タペストリー最高経営責任者(CEO)は、「『スチュアート・ワイツマン』はグローバルかつアイコニックなフットウエアブランドであり、当社が大切にする情熱、クリエイティビティー、クラフツマンシップなどの価値観を10年にわたって共有してきた。同ブランドが次章を迎えるにあたり、カラレスはその成長過程を導いてくれる理想的なオーナーだ」と語った。また、今後について、「『コーチ』のリーダーシップと勢いをさらに強化しつつ、『ケイト・スペード ニューヨーク』をよみがえらせることに注力し、持続的な成長および株主価値の拡大を促進していく」と説明した。
タペストリーの業績は?
タペストリーが2月6日に発表した2024年10~12月期(第2四半期)決算は、売上高が前年同期比5.3%増の21億9540万ドル(約3337億円)だった。ブランド別での売上高は、主力の「コーチ」は同10.9%増の17億930万ドル(約2598億円)と好調だったものの、「ケイト・スペード ニューヨーク」は同9.6%減の4億1640万ドル(約632億円)、「スチュアート・ワイツマン」は同15.2%減の6970万ドル(約105億円)と減収だった。