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「新卒採用で負けないよう一気に勝負をかける」 初任給30万円を発表したパル小路社長

「新卒採用で負けないように、ここで一気に勝負をかける」。そう話すのはパルの小路順一社長だ。2026年4月から新卒(大学・大学院卒)の初任給を30万円に上げると発表した。現在は23万4000円のため6万6000円の増額となる。既存社員も足並みをそろえ、同額のベースアップを実施する。

新卒採用は圧倒的な売り手市場。金融やIT、製造業の大手企業では「初任給30万円」が珍しくなくなる中、アパレルや小売業の動きは鈍い。新卒初任給で30万円以上への賃上げを発表したのはファーストリテイリング、アシックスといった潤沢な資金を持つグローバル企業、あるいはTOKYO BASEなどに限られる。

パルはプチプラ雑貨「スリーコインズ」、婦人服「チャオパニックティピー」「ディスコート」「カスタネ」などを展開する。近年は「スリーコインズ」がけん引し、パルグループホールディングスの2025年2月期の売上高は5年前に比べて約1.6倍になる見通しで、収益性は大幅に上がっている。積極的な新規出店を進める上で「人への投資は欠かせない」と判断した。

背景には「われわれの業界自体に若い人が集まらなくなっている」という危機感がある。この数年は新卒採用枠を300人で設定してきたが、25年4月入社は260人にとどまった。内定辞退者が相次いだからだ。

パルは現場が強い。店頭の販売員がたくさんの優良顧客を持つ。また販売員がSNSを駆使してヒット商品を生み出すノウハウは同業他社が研究するほどだ。店舗の人手不足は競争力の低下に直結する。

賃上げに伴う人件費の増額は14億円程度になる見通し。小路社長は「当社にとっては結構デカい額だ。それでもパルは付加価値をつける業態でお客さまから支持されてきた会社だ。業界の中で頭一つ抜けた初任給を設け、優秀な人材をもっともっと集める」と話す。

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