「トーガ(TOGA)」は2025-26年秋冬コレクションを英国現地時間の2月23日に発表した。古田泰子デザイナーが常にテーマに置くのは、「働く人のための服」。日々の生活の中で、「意志のある服に袖を通すことが人生をより豊かにする」という信念からくるものだ。今季はそのテーマを、フォーマルウエアのコードに遊びを加えて具現化した。
今季の出発点は、「服装における形式的な配慮はもう時代遅れなのではないか」という疑問だった。白シャツにネクタイを垂らしたようなルックは、写真家のウィリアム・エグルストン(William Eggleston)のスタイルから着想を得た。「彼はフォーマルウエアを好みながら、ネクタイだけは結ばなかった。それはメッセージTシャツを着るよりも難しい自己表現だと思う。彼のようなアプローチを取り入れたかった」と古田デザイナー。
テーラードジャケットは、前後を逆にしたようなデザインで幾重にも重ねた生地をセーラーカラーように配し、フォーマルの要素を残しながら、新しいシルエットに変化させている。誇張した襟が特徴のシャツの上に羽織るジャケットは、ウエストにベルトを通してしわを寄せ、ドレスのように着こなした。足元は2年越しに実現したという「アシックス(ASICS)」とのコラボスニーカーや、フェザーをあしらったオープントーのミュールが軽快さを加える。
特に目を引いたのは、裾部分を浮き輪のように膨らませたミニスカートだ。そのユニークな形状は、「官能性」や「女性的なもの」として語られがちなスカートのコードを崩すことに挑戦している。古田デザイナーはそれを「今の時代を生き抜くための防御服」と説明する。
イブニングウエアの様相を強めた後半にかけては、ブラックとホワイトのコントラストを効かせた。純白さを感じさせる花びらのようなフリルと毒々しさもあるビジューの刺しゅうは華やかに、そして反骨精神をのぞかせながらランウエイを締め括った。