コレクション会場に入ると、天井には花のシャンデリア。そして、ショーが始まりカーテンが開くと、そこには野生のバラに囲まれた、朽ち果てたマリア像。古里シシリア島のインスピレーション源をコレクションに盛り込む「ドルチェ&ガッバーナ」は今シーズン、愛や家族、そして信仰への「忠誠」をテーマに、いつも通りのシルエットの洋服にポエティックなモチーフを次々とプラスした。
まず、会場を彩ったバラの花々は、純白の生地にカットアウトして描かれ、それを丸ごとグレーのコートやジャケットにオン。今シーズンのトレンドアイテムになりそうな、首の詰まったダブルのチェスターフィールドコートというフォーマルアイテムは、たちまち純白のバラが咲き乱れる、ロマンティックな一着に変身した。バラは、ボルドーなどのクラシックカラーに染まったベルベットジャケットの上には、刺繍などでも描かれた。洗いざらしの雰囲気を醸し出すポプリンシャツには、中央に正方形のボビンレース。もちろん、ボビンレースは、マリアが頭からかぶった純白の布地を連想するものだ。
裾を大胆にカットオフしてしまったようなコンパクトジャケット、ベルトで強引に体に巻き付けたような印象のリラックスパンツ、そしてラインストーンやマリア像のプリントなどで華麗に彩られた7分袖のトップスなど、洋服そのもののシルエットは、ここ数シーズン打ち出し続けている定番中の定番だ。「変わらないシルエットの洋服の上に、毎回モチーフだけを変え、のせ続けている」という批判もあるかもしれない。しかし、それもまた愛や家族、信仰同様にデザイナーの2人が守り続けたいと願う、テーラリングやカッティングへの「忠誠」の現れのようだ。
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