「プルミエール・ヴィジョン(Première Vision以下、PV)」と並ぶ有力な素材見本市である「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」は、PVの一週間前の2月4-6日にミラノで開催された。「ミラノ・ウニカ」はコロナ禍を境に勢いを増しており、今回は過去最高の723社が出展し、海外からの来場者は初めて40%を超えたという。テキスタイルデザイナーの梶原加奈子KDS代表が、テキスタイルトレンドを中心にリポートする(写真・文ともに梶原加奈子)。
「ミラノ・ウニカ」のテーマは「LAND」
「ミラノ・ウニカ」の2026年春夏シーズンの最上位のテーマは、ランド(LAND)。心理的な幸福感を構築する空間や平和の象徴的な場所、という意味を込めた。クリエイションを通して、内なる旅、あるいは自己の探求や宇宙とのバランスを追求することで個人の成長に繋げ、同時に「自然との調和」「持続可能な未来」という環境に十分配慮した総合的なアプローチによって、個人と社会のバランスを求めよう、という考え方だ。
トレンドのコンセプトは、以下の3つ。
トレンドコンセプト① Rural (地方性)/地方性のLand
「何世紀にも渡る伝統」と「自然界で入手可能な原材料」を思い起こさせるテーマ。持続可能で環境に優しく、職人的な技術で生産された素材が中心になる。綿やリネン、ジュート、サイザル麻、籐、竹、藁(わら)、ココナッツ繊維、バナナ繊維、木材、革、牛革など。近代化以降に工業生産されている素材から、手工芸の分野で使用されている物まで幅広い。天然素材ならではの風合いや、手工芸品の素朴さ、それらを思い起こさせるような技法や加工も含まれる。顔料プリント洗いや、使い古したようなテクスチャーなどを指す。
トレンドコンセプト② Zen (禅)/精神性のLand
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