TSIホールディングスは、グループ傘下のTSIソーイングの全株式と、同社が運営する2つの縫製工場をワールドに譲渡する。譲渡日は3月1日。
譲渡するのは、山形県米沢市と宮崎県都城市の2工場。両工場とも、TSIグループの自社ブランドに加え、他社の百貨店ブランドなど高品質な衣料品の生産を請け負ってきた。近年は多品種・小ロット、短納期の生産需要に対応する形で、人材・設備投資にも注力した。山形・米沢工場は1977年に旧東京スタイルの直営工場として設立し、主に婦人ジャケットの縫製を手掛け、高度な技術を培ってきた。土地面積7884平方メートル、建物面積が2262平方メートル。宮崎・都城工場は、87年に設立し、ブラウスやパンツ、ワンピースなど多様なアイテムの縫製に対応。2015年にはワールドから、同じく都城市で運営する縫製拠点を買収・統合して生産力を強化した。コロナ禍では医療用アイソレーションガウンの製造なども請負った。土地面積1万6719平方メートル、建物面積4087平方メートル。
TSIソーイングの24年2月期は売上高7億8600万円、営業損益が5900万円の赤字、純損益が1700万円の赤字。直近3カ年は営業損益、純損益共に赤字が続いていた。
なおワールドへの譲渡価額は、守秘義務契約により非公表。TSIホールディングスの不動産の譲渡損は計4億3800万円で、25年3〜11月期連結決算に減損損失として計上した。
TSIホールディングスは今回の株式および不動産譲渡の背景として、「収益構造改革と事業ポートフォリオの見直しを図っており、今後の事業ポートフォリオを見直した結果、当社グループの中核をなすアパレル事業や、今後の成長が期待できる海外事業等に経営資源を集中させることが、当社の競争力および企業価値の向上に資するものであると判断した」としている。