三越伊勢丹ホールディングス(HD)は28日、新宿アルタと原宿アルタを閉館した。1980年開業の新宿アルタは商業施設というだけでなく、フジテレビの長寿番組「笑っていいとも!」(1982〜2014年)の観覧スタジオとして全国的に有名だった。また新宿駅東口に面した大型のアルタビジョンは街のランドマークとして親しまれ、待ち合わせ場所でもあった。最終日には別れを惜しむ人たちが新宿アルタの外観をスマホで撮影する姿が絶えなかった。
閉店後の20時40分、正面入り口で末広泰之店長が閉店のあいさつを行った。「45年の長年にわたり、ショッピングやスタジオ観覧、待ち合わせなどにご利用いただき、新宿アルタを支えてくださった全てのお客さまに深く感謝申し上げます」と述べた後、閉店を見守る人たちに唱和を呼びかけた。末広店長が「(営業継続する)サンシャインシティアルタと(伊勢丹がある)新宿東口)に来てくれるかな?」と叫ぶと、集まった数百人の人たちが一斉に「いいとも!」と応えた。
新宿アルタは地下2階・地上7階のフロア構成。7階にはかつて「笑っていいとも!」の観覧スタジオだった「キースタジオ」、6階にレコードの「HMV」、4・5階に服飾生地の「オカダヤ」、中低層階にはアパレル、雑貨、飲食、サービスなどの店舗が入り、1階グランドフロアはダイソーのプチプラ雑貨「スタンダードプロダクツ」が営業していた。三越伊勢丹HDは新宿アルタ単体の業績を公表していないが、近年は赤字だったもようだ。土地・建物はもともと三越が所有していたが、2000年にダイビルに所有権を売却している。閉館後の計画は現時点で発表されていない。
同時に15年開業の原宿アルタも閉館したため、アルタの屋号で運営する商業施設は池袋のサンシャインシティアルタだけになる。
1999年ごろに館内のラブボート系列の店舗で店長をしていたという女性は、当時の同僚5人と一緒に訪れ、建物の前で記念撮影をしていた。「当時はギャルブランドが全盛。館内に一体感があって他のお店の店舗スタッフとも仲良しでした。私たちの休憩室と、『いいとも!』のタレントさんの楽屋がとても近くて、タモリさんや(笑福亭)鶴瓶さんはもちろん、堂本光一さんや安室奈美恵さんも間近で見ました」「エレベーターでは香取慎吾さんとよく一緒になりました。アルタで働けて幸せでした」と振り返った。