米アパレル企業ペリー・エリス・インターナショナル(PERRY ELLIS INTERNATIONAL)は、共同創業者のジョージ・フェルデンクレイス(George Feldenkreis)会長が死去したことを発表した。89歳だった。死因は明らかにされていない。
キューバ革命を機に米国移住など波乱万丈の人生
フェルデンクレイス会長は、1935年キューバ生まれ。ハバナ大学(University of Havana)のロースクールで学んだものの、大学がしばらく閉鎖されたことから家業の輸入会社に加わった。その後、故フィデル・カストロ(Fidel Castro)らによるキューバ革命を機に61年に米国に渡り、自動車部品会社を設立。67年、兄弟と共にユニホーム会社シュプリーム・インターナショナル(SUPREME INTERNATIONAL)を立ち上げた。同社は93年に上場。99年に「ペリー エリス(PERRY ELLIS)」を買収したことから、現社名に変更した。
現在、同社は「ペリー エリス」に加えて「オリジナル・ペンギン(ORIGINAL PENGUIN)」「ベン・ホーガン(BEN HOGAN)」「ラファエラ(RAFAELLA)」など30以上のブランドを保有。また、「キャロウェイ(CALLAWAY)」や「ジャック ニクラウス(JACK NICKLAUS)」、「ナイキ(NIKE)」のスイムウエアなどのライセンスビジネスを行っている。全体の売り上げは10億ドル(約1490億円)程度と見られている。
退任に追い込まれてからの逆転劇
フェルデンクレイス会長は、93年から2015年まで会長兼最高経営責任者(CEO)として同社を率いていたが、アクティビスト投資家が、コーポレートガバナンスの強化を理由に会長職とCEO職の分離を要求。これを受け、同氏はエグゼクティブ・チェアマンに就任し、当時社長を務めていた息子のオスカー・フェルデンクレイス(Oscar Feldenkreis)がCEOに昇格した。なお、フェルデンクレイス会長は17年、取締役会によって退任に追い込まれたものの、米投資会社フォートレス・インベストメント・グループ(FORTRESS INVESTMENT GROUP)と手を組み、MBO(経営陣による買収)を実施。ペリー・エリス・インターナショナルを非公開化することに成功し、自身は会長に返り咲き、オスカーは社長兼CEOに就任した。MBOが完了した時点で、フェルデンクレイス会長は83歳。高齢ではあったが、その後もエネルギッシュに業務に取り組んでいたという。
CEOを務める息子や同社の追悼コメント

オスカーは訃報に際し、「ジョージは、父として、創業者として、そして真のアイコンとして皆に愛された。私たちの心の中で永遠に生き続ける父の人生とレガシーを、誇りを持って祝したい」と語った。
ペリー・エリス・インターナショナルは、「ジョージはキューバからの移民として厳しい環境の中でキャリアをスタートしつつも、その起業家精神や先見の明があるリーダーシップにより、58年にわたって当社を繁栄させるという輝かしい功績を残した。彼が世界中の友人たちやビジネスパートナー、ファッション業界に与えた影響やインスピレーションは消えることはない」と声明を発表した。