リカバリーウエアをはじめとするコンディショニング製品を手掛けるテンシャル(TENTIAL)は2月28日、東京証券取引所グロース市場に上場した。初値は2600円と公開価格を30%上回り、2751円で取り引きを終えた。中西裕太郎・最高経営責任者(CEO)によると、調達資金は主に広告・宣伝や製品開発に充てるという。同社の2024年1月期の売上高は54億900万円を記録し、25年1月期は前期比21%増の119億5500万円を見込んでいる。
中西CEOはプロサッカー選手を目指した高校時代に病気で夢を絶たれた体験から、アスリートの経験と健康の重要性を社会に還元したいという思いで18年2月にアスポールという社名で創業。19年4月に「テンシャル(TENTIAL)」の始動を発表し、8月に第1弾としてスニーカーの機能性インソールを発売した。それ以降、リカバリーウエア“バクネ”や寝具、リカバリーサンダルなど製品を拡充。科学的根拠に基づいたコンディショニング製品を開発し、健康課題にアプローチしている。
「テンシャル」の特徴と今後の展望
「テンシャル」はオンライン中心のマーケティングが特徴で、売上高はECが77.9%を占める。なお直営店を含む89.2%を自社チャネルで売り上げているため、高い粗利率を実現。中西CEOは、「昨年末、“バクネ”のテレビCMに櫻井翔を起用したことで、ブランドの認知率は1ケタ%から18.3%にアップした。今後も同製品を軸に認知拡大に注力し、ほかのカテゴリーの売り上げにもつなげていく」と話す。中心顧客層は、高・中所得者層の30〜50代。製品改良による価格改定や高価格帯製品の発売によって購入単価の向上をかなえながら、購入件数も着実に増加している。全国の主要都市に9店舗を構え、全店舗で黒字営業を維持。「今後も適切なタイミングに厳選した場所へ出店し、オンラインでは得られない認知獲得に努める。オンラインを中心に発展してきたが、高価格帯製品を取り扱っていることもあり、手触りを確かめたり、試着したりするなど体験の場として店舗拡大を視野に入れている」。
リカバリー市場の規模
一般社団法人日本リカバリー協会によると、23年のリカバリー市場は5.4兆円と推計され、健康意識の高まりと共に、30年には23年比2.6倍の14.2兆円に成長すると見込まれる。日本マーケティングリサーチ機構によると、「テンシャル」の“バクネ”はリカバリーウエアの年間売上高、年間販売数、ギフト売上高においてNo.1(24年11月11日〜12月24日)を獲得している。