「ディオール(DIOR)」 が展開するフレグランスコレクション“ラ コレクシオン プリヴェ”は、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が生涯で手掛けたファッションのシルエットの数にちなみ、全22種の豊かな香りをラインアップする。その一つである“サクラ”は、わずかに開花した詩的な桜を表現した香り。だんだんと暖かくなり桜が待ち遠しくなる季節に、俳優の高橋文哉が体感した。
オートクチュールのように作る香水
ディオールは生涯にわたり、自身をクチュリエかつパフューマー(デザイナー兼調香師)だと自負していた。フレグランスはドレスのファイナルタッチとして欠かせないものであり、香水とクチュールの結びつきは今もブランドの大切なスピリットだ。そんなつながりを最も表現するのが“ラ コレクシオン プリヴェ”(全22種、各50mL、各2万5300円/各100mL、各4万5100円/各200mL、各6万3140円)。現在は、フランシス・クルジャン(Francis Kurkdjian)=ディオール パフューム クリエイション ディレクターが継承する。クルジャンにとって同コレクションは、「クチュールと香水を密接に結ぶユニークな世界」だと語る。“ラ コレクシオン プリヴェ”の香水の製作は、まず香りのラインを決め、香りのコンポジションをドレスの構造に反映させるかのように捉えることから始まる。そしてクチュリエが生地のドレープを活用するように原料の制約を使いこなし、香りを完成させる。クルジャンはディオールと自身には多くの共通点があると語っており、例えば自然と花々を愛し、自らを取り巻く世界に飽くなき好奇心を抱いていることや、人生の楽しみを大切にし、迷信深いところなど。ディオールとの共通の情熱こそが、同コレクションの創作の基盤だ。
“サクラ”の香りは
日本の洗練された美意識へのオマージュ
“サクラ”は、わずかに開花した詩的な桜を表現している。ドレスに例えると、桜の花びらのように柔らかなシルクチュールのベールに、アーモンドの心地よいパウダリーなノートが溶け合う。肌を優しくなでるような香りで、軽やかさと繊細さのハーモニーを織りなす。ディオールにインスピレーションを与え続けた、日本の洗練された美意識へオマージュを捧げる。
ディオールが幼少期を過ごしたグランヴィルの邸宅の階段の壁には、母マドレーヌ(Madeleine)が依頼したフレスコ画があった。ディオールも気に入っていたというその壁画には、日本画の名作から飛び出してきたような2羽の白サギが羽ばたく様子が描かれていた。“サクラ”の香りは、ディオールが愛した日本の繊細な美意識、桜のはかない美しさに思いを馳せた香り。桜の花はディオールに、幼少期のフレスコ画の記憶を思い出させたのだ。
「自分がステップアップできる
力を添えてくれる香り」
WWD:“サクラ”の香りを体感した感想は?
高橋文哉(以下、高橋):ふわっとして、「もうすぐ春だね」という香りが、丸みを帯びて宙をふわふわと舞っているような......そんな香りがしました。
WWD:“サクラ”はどのようなシチュエーションで使いたいか?
高橋:今まで、香水は自分を少し大きくしてくれるような、背伸びできるような存在だと思っていました。しかし“サクラ”は、自分に優しく寄り添ってくれる香りです。日常的につけることで、自分が一つステップアップできる力を添えてくれるように感じました。自分の人生において、さまざまなシチュエーションで使いたいです。
WWD:普段のフレグランスの使い方は?
高橋:昨年公開した映画「ブルーピリオド」で役を演じた際には、“ミス ディオール”の香水に助けられました。役作りにおいて「今までの向き合い方では難しいな」と思い、普段から信頼を置いている“香り”に着目したんです。いろいろな香水をまとってみて、一番気分が上がるのが“ミス ディオール”でした。現場では常に“ミス ディオール”を持ち歩いてつけていたのですが、周りの人から「“ユカちゃん”(そのときに演じた女性役の名前)が現場にいると存在感がある」と言われ、香水には偉大な力があるんだなと感じました。今までプライベートでしか香水をつけなかったのですが、仕事で気合を入れたいタイミングで使うことも増えました。
WWD:桜にまつわる思い出を教えてほしい。
高橋:3月生まれなので、春には特別感があります。毎年春になると、人生の転機が訪れるような感覚があります。桜が咲くと、「春がきたんだな」「また一つ年を重ねるんだな」と思います。仕事が終わった後に見る夜桜は、特別感があってきれいですね。
WWD:今年の春に挑戦したいことや実現したいことは?
高橋:僕は今年で24歳になります。デビューしたての19歳のころは、24歳はとてつもなく大人に見えていました。尊敬する先輩たちが最前線で活躍する姿を見ていた中で、かつての自分が思い描いていた“かっこいい先輩像”に自分はまだ到達できていない気がしますが、Z自分の言葉により責任を持つことから始めようと思います。この仕事で最大限に生かせるのは言葉だと思っているので、自分の言葉一つで誰かの人生を救えるような、説得力のある人間になりたいです。
PHOTOS:YUKI KUMAGAI
STYLING:TOKITA
HAIR&MAKEUP:TOSHIYASU OKI
FLOWERS:YUJI MIURA
パルファン・クリスチャン・ディオール
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