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プラダ グループ、24年は15%増収と好調 「ヴェルサーチェ」買収のうわさについては明言を避ける

INDEX
  • 会長とCEOのコメント
  • 「『ミュウミュウ』の大躍進は『プラダ』の成功あってこそ」
  • 「極めて高い価格帯」への参入を示唆
  • 「ヴェルサーチェ」買収のうわさについて

プラダ グループ(PRADA GROUP以下、プラダ)の2024年12月期決算は、売上高が前期比14.9%増の54億3200億ユーロ(約8473億円)、調整後EBIT(利払前・税引前利益)は同20.5%増の12億8000万ユーロ(約1996億円)、純利益は同25.0%増の8億3900万ユーロ(約1308億円)の増収増益だった。営業(EBIT)利益率も、23年度の22.5%から23.6%へと拡大した。

販売チャネル別では、全体の89.3%を占める小売りの売上高が同15.7%増の48億4900万ユーロ(約7564億円)、卸は同6.5%増の4億6100万ユーロ(約719億円)だった。

地域別での売上高(小売り、以下同)は、地元客と観光客の両方が好調だった欧州が同16.8%増の15億3200万ユーロ(約2389億円)、10~12月期(第4四半期)に中国市場が回復したアジア太平洋地域(日本を除く)は同10.9%増の16億400万ユーロ(約2502億円)だった。円安の影響によるインバウンド需要が引き続き旺盛な日本は同35.5%増の6億5600万ユーロ(約1023億円)、観光客が増加した中東は同26.1%増の2億2700万ユーロ(約354億円)といずれも大幅増収。下半期に北米が回復した南北アメリカは同8.2%増の8億3000万ユーロ(約1294億円)だった。

ブランド別の売り上げでは、主力の「プラダ(PRADA)」の売上高は同2.2%増の35億6300万ユーロ(約5558億円)と堅調、勢いが続く「ミュウミュウ(MIU MIU)」は同89.2%増の12億2800万ユーロ(約1915億円)と非常に好調だった。

会長とCEOのコメント

パトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)会長兼エグゼクティブ・ディレクターは、「厳しい環境下においても、引き続き市場全般を上回る業績を上げられたことをうれしく思う。これは高い品質、商品イノベーション、クラフツマンシップの追求、そして時代を読むユニークな能力に裏打ちされた当社の傘下ブランドの強みが発揮された結果だ。また、会社組織も数年をかけて強化しており、25年も長期的かつ持続的な成長に向けて投資し、尽力していく」と語った。

アンドレア・グエラ(Andrea Guerra)最高経営責任者(CEO)は、「24年も大変よい結果を残すことができてうれしく思う。現地通貨ベースおよび既存店ベースでは4年連続で2ケタ成長を遂げ、利益率も昨年度から拡大するなど、財務状況は非常に健全だ。『プラダ』は引き続き市場シェアを拡大しており、『ミュウミュウ』は記録的な勢いで成長している。今後も小売りや生産能力、テクノロジーなどへの投資を継続し、ブランドのポジショニング、品ぞろえ、顧客とのエンゲージメントを強化することで、複雑な環境下でも市場を上回る持続的な成長ができるものと確信している」と述べた。

「『ミュウミュウ』の大躍進は『プラダ』の成功あってこそ」

アナリスト向けの決算説明会で、大躍進が続く「ミュウミュウ」の今後3年から5年の目標について質問されたグエラCEOは、「言うまでもないことだが、こうした凄まじい勢いでの成長は長く続くものではない。今後も魅力的な商品をそろえ、地元客やリピーターを大切にし、持続的な成長を維持したいと考えている」と回答。また、「そもそも『プラダ』のために作り、進化させてきたインフラやサービス、生産能力があったからこそ、『ミュウミュウ』が大きく飛躍できた」と話し、「プラダ」が先に成功したことにより現在の「ミュウミュウ」があるという考えを示した。

なお、3月5日には、同社が10年にオープンした「ミュウミュウ」ロンドン旗艦店が入る建物を2億5000万ポンド(約472億円)で購入したことが明らかに。現在、同店は改装中のため、近くの仮店舗で営業している。また、同社は13年、「プラダ」ロンドン旗艦店の建物も購入している。

「極めて高い価格帯」への参入を示唆

ここ数年はコストの高騰などを背景に、ラグジュアリーブランドで値上げが続いている。「プラダ」と「ミュウミュウ」も例外ではないが、「極端な値上げはしていない」とグエラCEO。「エントリーアイテムの価格はほとんど変えていない。一方で、上の方には現在の商品群ではカバーしきれていない価格帯があり、そこには信じられないほど大きな可能性がある。そうした極めて高い価格帯の商品を取り扱うために、店舗などの準備も進めてきた。大切なのは、さまざまな価格帯の商品を、ブランドのポジショニングに合わせてバランスよく扱うことだ」と説明した。

「ヴェルサーチェ」買収のうわさについて

カプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)が保有する「ヴェルサーチェ(VERSACE)」と「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」の売却について、以前からさまざまな臆測が広まっているが、今年1月にはプラダが両ブランドの買収に関心を示しているとのうわさが浮上した。情報筋によれば、プラダはすでにカプリと独占的なデューデリジェンス(買収前の詳細な財務およびリスク調査)を行っている段階で、3月半ばにはその結論が出るのではないかという。

本件について、プラダはこれまでコメントを発表していない。このため、今回の説明会でも注目が集まっていたが、グエラCEOは「以前から明確にしていることだが、当社は傘下ブランドに100%フォーカスしている。一方で、何らかの機会が訪れることがあれば、誰しもそれに一度は目をやるものだ」と答えるにとどめた。

また、アンドレア・ボニーニ(Andrea Bonini)最高財務責任者も、「当社はうわさに対するコメントはしない」と述べた。しかし、同社が1990年代には「フェンディ(FENDI)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」「アズディン アライア(AZZEDINE ALAIA)」などに投資し、多数のブランドを擁するコングロマリットを目指していたことについてアナリストから問われると、「当時から数十年が経ち、当社の規模やチームなど、あらゆる面で変化している。もはや異なる会社と言えるのではないか」と話し、やはり明言を避けた。なお、プラダはその後、これらのブランドの持分を売却している。

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