イタリアのメンズ・ラグジュアリー・ブランド「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」(以下、「ゼニア」)は9月3日、"メイド イン ジャパン"にこだわった"クチュール"コレクション発売を記念し、業界人約400人を招いたローンチパーティーを開催した。イベントにはメンズ誌編集長やブロガー、百貨店関係者など、多くの業界人がつめかけた。その中で、ブログやSNSでフラットな意見を発信するファッションオブザーバーのkosoと、「コモンズ アンド センス(COMMONS & SENSE)」「ヴォーグ オム ジャパン(VOGUE HOMMES JAPAN)」など多くの雑誌を手掛けてきたスタイリスト兼ファッション・ディレクターのSHUN WATANABE(以下、SHUN)の2人にコレクションの感想を聞いた。
両者が着目したのは、ピラーティ就任がブランドに与えた影響だ。kosoは、「近年、日本の素材を使うメゾンが多いと聞く。しかし、大切なのは"メイド イン ジャパン"をいかにブランドのアイデンティティーと組み合わせるか。その点、かっちりとしたイメージの『ゼニア』が素材で遊んだり、カジュアルダウンしている点が新鮮で面白いと感じた。外部デザイナーとしてピラーティが入ったことが大きいはず。特にニットジャケットが気に入った」と話す。SHUNも、「今やさまざまなブランドが"ミックス"することは当たり前になっている。自分もこれまでのスタイリング経験からその楽しさを学んできた。スタイリストとして、他とは違う提案をすることに意味がある。今回のコレクションから、まさにその"ミックス"感を感じた」という。「今はブランドが新しい提案をどんどんしていかなければいけない時代。ピラーティの就任で、これまでの歴史あるブランドに新しい側面が増えた。それがよい形で体現できたコレクションだったと思う」とSHUN。
ファッションビジネスへの興味からブログやSNSで発信を始めたというkosoは、「ウェブの発展とともに顧客に対してダイレクトなアプローチが可能になった今は、シーズンごとのコレクションだけでは目立てなくなっている。新たな一歩を踏み出すことが必要。今回のプロジェクトは、まさにその一つ。イタリアで経験を積んだ日本人職人が作った靴など、単なるキャンペーンではなく、きちんとこだわりがつまっている。ここまで本気でできるのは、ブランドのバックグラウンドがあるからこそ。日本のファッション業界も回復をしてきており、世界的にも注目が集まっている。タイミングもよかったはず」。
また、SHUNは、「スタイリストという職業柄、普段はあまりスーツを着ないため、自分のためにフォーマルウエアを見ることは少なかった。今回のコレクションではチェック柄のブルゾンやデニムなど、使いやすいアイテムも多く、馴染みやすかった。日本の素材や縫製技術は世界からも認められており、こうやってイタリアのブランドが日本に着目してくれることは日本人としてもうれしい」と語る。
■「メイド イン ジャパン」プロジェクト公式サイト
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