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「ミナ ペルホネン」30周年 皆川明に聞く100年続くブランドの作り方

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  • PROFILE: 皆川明/「ミナ ペルホネン」デザイナー
  • 1000人のうち1人に響けばいいという思いでスタート
  • ブランドの生命が宿る素材

PROFILE: 皆川明/「ミナ ペルホネン」デザイナー

皆川明/「ミナ ペルホネン」デザイナー
PROFILE: (みながわ・あきら)1967年東京都生まれ。1987年文化服装学院服飾専門学科(夜間)入学。95年自身のブランド「ミナ」を設立。ブランドが軌道にのるまで魚市場でアルバイトしながら服作りをする。2003年ブランド名を「ミナ ペルホネン」に変更し、デザイナー兼代表として活動。21年代表を退任し現職

ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」は今年、ブランド創業30周年を迎えた。デザイナーの皆川明が1995年に創業。東京・八王子のアトリエで、「ミナ(MINA)」という名前で歩み始めた。オリジナルの素材を使用したファッションや小物などを提案し、2003年に現在のブランド名に改名。フィンランド語で“ミナ”は“私”、“ペルホネン”は“蝶”を意味する。その名のように、軽やかでトレンドに左右されない独自の世界観により徐々にファンを増やしていった。ファッションだけでなくインテリアなどライフスタイル全般を提案するブランドとして活動の輪を広げている。創業当時の「せめて100年続くブランドを」という皆川の思いは今も同じ。彼に、ブランド30周年を迎えた思いとこれからについて聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月17日号からの抜粋です)

「ミナ ペルホネン」

ロゴの四角い枠は人、小さな粒はさまざまな個性を表している。このロゴには、個性から生まれるアイデアや工夫を大切に、作ることから使うことまで喜びをもたらすブランドでありたいという願いが込められている

1000人のうち1人に響けばいいという思いで
スタート

「ミナ ペルホネン」では創業以来変わらず、モノ作りに焦点を置いた活動を続けている。この30年間で、ファッション業界を取り巻く環境は大きく変化した。創業当時はセレクトショップが台頭し、ラグジュアリー・ブランドが広がり始めた時期だ。そして、どんどんSPA化が進み、ファストファッションが市場を席巻するようになった。多くのブランドは、売れるモノを大量に作り販売してビジネス拡大を図ってきた。皆川は、「ファッション業界の方程式とは違う方法でブランドを始めた。ビジネス規模を大きくせず、素材からオリジナルで国内生産にこだわり続けてきた」と話す。多くの企業が、海外で効率的に大量生産して売るのとは、真逆の方法を取ってきた。「利益を増やすためのモノ作りではなく、価格を超えるような商品となるモノ作りを目指している」。素材から作るため、大量生産はできない。だから、「1000人のうち1人にでもそれが響けばいい」という思いでビジネスを続けてきた。その歩みはまるで、「ウイスキーを熟成させるようにゆっくりだった」という。

ブランドの生命が宿る素材

「ミナ ペルホネン」の軸にあるのは、オリジナルの素材だ。毎シーズン、テキスタイルの図案から描き、糸を選んで工場と二人三脚で開発。1シーズンで登場する新作の柄・生地は約30〜40種類、色や素材違いを含めると100種類を超える。素材作りから縫製まで、国内で協業している工場は25社以上。アーカイブにある柄は1000種類以上、素材は約5000種類以上にも及ぶという。皆川は、「30年間ブランドを継続できた理由の1つが、オリジナルの素材だ。他社にはないオリジナルの素材により、ブランドの独自性を確立できた」と話す。素材の開発には半年から1年、中には数年かかるものもある。毎シーズン続けるのは大変なことだが、「ずっとやっているから続けられる。作った素材をアレンジしたり、そこから新しいアイデアが生まれたりする」と皆川。素材は、「ミナ ペルホネン」のクリエイション源であり、原動力になっている。素材から作り続けることで、唯一無二のブランドのアイデンティティーを作り出し、ファッション以外のコラボレーションによりブランドの世界観を広げている。

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