デザイナーの就任・退任に関するニュースは昨年来続き、収束する気配がない。ミラノ・ファッション・ウイークでは、過渡期にあるブランドのファッションショーが相次ぎ、さらなる就任・退任のニュースもあった。今シーズンをデザイナー人事と、その背景にあるビジネスニュースから振り返り、今後のミラノ・ファッション・ウイークを展望する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月17日号からの抜粋です)
「グッチ」はサバトが約2年で突然の退任
まずビッグメゾンでは、ファッションショーのわずか3週間前にサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)が「グッチ(GUCCI)」のクリエイティブ・ディレクターから退いた。在任期間は、わずか2年。ブランドは直近売り上げが優れなかったものの、あまりに突然の交代劇だった。
デザインチームがサバトの玄人感から脱して上々のリリーフを務めたのはこちらの記事で解説した通りだが、ショーはサバト体制からの“自然な転換”も印象付けた。まず「転換」が見て取れるのは、キーカラー。サバトがキーカラーに据えた赤、ロッソ・アンコーラを捨て、会場は緑一色に。コレクションにもロッソ・アンコーラは一度も現れなかった。一方、ミニ丈のランジェリードレスにAラインや構築的なアウターなどのコーディネートはサバトを思わせ、「自然」な移行をアピールする。後任については遅くとも月内には発表予定という(3月13日現在)。停滞するビジネスとサバトの突然の退任から考えると、知名度やキャリアの点で彼をはるかにしのぐ大物デザイナーなのでは?という見解が支配的だ。今年就任したステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)最高経営責任者の目利きに注目が集まっている。
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