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グラングリーン大阪「南館」先行公開 出店ブランドが広い公園を有効活用

INDEX
  • 「ナイキ」「CFCL」「ロンハーマン」などが出店
  • 都心の広い公園がアドバンテージになるか

JR大阪駅北側の大型複合施設「グラングリーン大阪・南館」が21日の開業に先駆けて17日に関係者に公開された。低層部の商業エリア(地下1階〜地上3階、賃貸面積2万平方メートル)に物販と飲食の55店舗が営業するほか、中・高層部にはオフィスやホテルが入る。昨年9月の先行街開き以降、大阪の人気スポットになっている「うめきた公園」および北館と合わせて、幅広い層の集客を狙う。

「ナイキ」「CFCL」「ロンハーマン」などが出店

三菱地所を代表とするグラングリーン大阪開発事業者JV9社が開発・運営する。9.1万平方メートルの広大な敷地のうち、4.5万平方メートルを占める公園を中央に配し、その南北に商業・ホテル・オフィス・住宅などのビルが建つ。JR大阪駅前の一等地に広大な緑化空間を作る都市開発は異例で、昨年9月の先行街開き以来、大きな話題を集めている。

21日に開業する南館はJR大阪駅と隣接する。商業エリアは阪急阪神不動産がリーシングを担当。ファッション系では「ナイキ(NIKE)」「ザラ(ZARA)」「ロンハーマン(RON HERMAN)」「シーエフシーエル(CFCL)」「マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)」「セオリー(THEORY)」「三陽山長」「スローウエア ヴェネチア(SLOWEAR VENEZIA)」「ポール・スミス(PAUL SMITH)」「カフェ キツネ(CAFE KITSUNE)」などが入る。食の分野では、3000平方メートル超の空間に17のキッチンと2つのバーを集結し、イベント用のステージまで設けた「タイムアウトマーケット大阪」が話題だ。また高級ホテルのウォルドーフ・アストリア大阪、ホテル阪急グランレスパイア大阪のほか、関西最大級の健康増進施設「うめきた温泉 蓮 ウェルビーイングパーク」など、国内外からの集客を見込めるコンテンツが集まる。

「CFCL」は初の路面店として203平方メートルの最大店舗を出店した。開放感のある空間の中央にVPスペースを設け、意外な場所にスピーカーを設置してユニークな音響効果を演出する。「広大な緑があるグラングリーン大阪はウェルビーイングをコンセプトに掲げており、『CFCL』とは相性がいい」(広報担当)。メンズ、ウィメンズ、キッズのフルラインをそろえて、ファミリー層にも対応する。

うめきた公園を活用したイベントを開くことで、消費者の接点を作る試みも盛んだ。「ナイキ」は芝生広場でランニングやヨガの教室、「ロンハーマン」は大屋根広場でナイトシアターを企画する。梅田エリアで働く人や住む人がサードプレイスとして訪れるようなコミュニティー型の店舗を目指す。

都心の広い公園がアドバンテージになるか

グラングリーン大阪は、JR大阪駅北側の梅田貨物駅跡地(24ヘクタール)の再開発でうめきた2期と呼ばれるエリアに建設された。うめきた1期のエリアで13年に開業したグランフロント大阪と隣接する。グランフロント大阪の商業エリア(ショップ&レストラン)は賃貸面積4.4万平方メートルに約260店舗が営業し、23年度の売上高は455億円だった。グラングリーン大阪はグランフロント大阪に比べてコンパクトだが、落ち着いた環境で買い物がしたい人たちを呼び込む。販促やマーケティングで連携していく。グラングリーン大阪は商業エリアの売上高目標を非公表としている。

大阪・梅田エリアは2010年代に商業施設の競争が激化した。JR大阪駅の駅ビルの再開発によって、11年に大丸梅田店が1.6倍に増床、新たに百貨店のJR大阪三越伊勢丹が出店し、JR西日本グループによるファッションビルのルクアが開業した。12年には阪急うめだ本店が建て替えによってスケールアップして開業、13年にはグランフロント大阪が開業している。

苛烈な商戦が繰り広げられる中、15年にJR大阪三越伊勢丹は撤退し、店舗をルクアに譲渡した。大丸梅田店は29年までに売り場面積を4割減らすことを発表している。一方で、大阪でインバウンド(訪日客)は急増している。来月には大阪・関西万博の開幕を控えており、ホテルの新規開業も相次ぐ。

三菱地所の神林祐一・グラングリーン大阪室室長は、昨年9月の先行街開きから半年を振り返り「うめきた公園がグラングリーン大阪の価値を高めている」と自信を示した。ターミナルの目の前にできた甲子園球場よりも広い緑の空間の存在が、不動産事業に良い影響を与えていると現時点を総括する。商業のテナントでも公園効果を期待する声が多い。

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