
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月17日号からの抜粋です)
木村:2025-26年秋冬ミラノコレは「フェラガモ(FERRAGAMO)」がベストでした。ランウエイ取材ではいつもいろいろなことを考えて、メモしたり写真を撮ったりと忙しいのですが、今回の「フェラガモ」は手を止めて、感じることに専念しました。すごくドキドキして、カッコいい!と思ったら、要さんが「バックステージに行こう」と言い、バックステージには同じ感覚を持った人が詰めかけていて、すごくテンションが上がりました。
村上:デザイナーシャッフルで“様子見”なシーズンなのか、トレンドが見えづらかったです。「フェラガモ」で見た構築と流動の融合は、パリの「サカイ(SACAI)」などでようやく大きな流れだと確信できたのですが、素直に「素敵!」と思えましたね。
木村:ミニマルで構築的なデザインだけれど、ジャージー素材で柔らかいというように、マクシミリアン・ディヴィス(Maximilian Davis)が新しい言語で“ミニマル”を語ろうとしていると感じて、表紙にしたいと考えました。
着る人が“安心する”服の流れ
村上:街ではテック系のシェルパーカばかりが目立っていたこともあり、起毛感や毛足の長い素材のコートをどのブランドも提案していたのが印象的でした。特に「フェンディ(FENDI)」は真面目でストイックな感じのキム・ジョーンズが去り、グラマラスでゴージャスな雰囲気のカムバックに歓迎ムードでした。
木村:アメリカのセレブの間でモブワイフ、つまりマフィアの妻のようなスタイルがはやっていたり、日本でもプードルコートやテディベアコートなどのモコモコ系のアウターが人気だったりと、着る人を包み込むようなアウターは注目ですね。
村上:思っていたより装飾主義には行かず、着る人が“安心する”服の流れがまた盛り上がりそうですね。個人的には「グッチ(GUCCI)」の新デザイナー就任のニュースが校了日に出そうな気配で、まとめたページを大きく変えなきゃいけないんじゃないか?とドキドキしています(苦笑)。
木村:ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)退任のニュースはなんとか記事に反映できましたが、デムナ (DEMNA)の「グッチ」就任は校了後でしたね。「ジル サンダー(JIL SANDER)」をシモーネ・ベロッティが引き継ぐのも意外でしたし、ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻の行く末も気になります。