ミラノの裁判所は、「ディオール(DIOR)」の一部サプライヤーにおける違法な労働慣行の疑いを理由に2024年6月から同社に課されていた管理措置の解除を命じた。
同6月、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が擁するクリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)のイタリアの子会社で、「ディオール」のバッグなどの生産を行うマニュファクチャラーズ ディオール(MANUFACTURERS DIOR)のサプライヤーである中国系の下請け企業が最低賃金以下で工員を雇用していたことが明らかに。これを受けて捜査が開始され、当該の企業や工場は1年間、行政の指導下に置かれることとなった。「ディオール」は声明の中で、当初予定されていた1年の期間を前に、手続きが早期に解決したことを歓迎すると述べた。
同社は、裁判所が「最高水準の倫理や業務基準を堅持するという当社の揺るぎない姿勢」を認めたと述べ、「ミラノ裁判所および裁判所が任命した専門家との建設的かつ協力的な対話のおかげで、ディオールはサプライチェーンの運営をさらに強化し、業界のベストプラクティスの新たな基準を確立することができた」とコメントした。
今回の捜査を受け、「ディオール」は自社生産の比率を引き上げる方針を表明し、24年11月には、長期的な生産能力の強化と職人技の継承を確実にするための新たな部門の設立を発表した。
ミラノ裁判所は、クリスチャン ディオール クチュールのイタリアの子会社について、「前向きかつ適切に対応し、司法管理を“改善と刷新の機会”として受け止めた」と評価。是正措置と予防策が迅速に講じられたことを明らかにした。
なお、イタリアのアパレルブランド「アルヴィエロ マルティーニ(ALVIERO MARTINI)」や、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」の製造を担うジョルジオ アルマーニ オペレーションズ(GIORGIO ARMANI OPERATIONS)もミラノの裁判所により同様の措置を受けていたが、2月初め、ジョルジオ アルマーニ オペレーションズの管理措置も解除されている。