PROFILE: (左)ケイト・コフィー/ドーバー ストリート マーケット パリ ディレクター (右)レモ・ハラウアー/コム デ ギャルソン インターナショナル バイスプレジデント

ドーバー ストリート マーケット パリ(DOVER STREET MARKET PARIS、以下DSMP)がマレ地区にオープンしてから、9カ月がたった。17世紀に建てられたタウンハウスをベースに川久保玲「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」デザイナーが全体デザインを手掛けた店舗は、カーブを描く白い壁によって外からは服が見えず、中はまるで迷宮のよう。またローズベーカリーやブックコーナーも併設し、中庭と地下はイベントや展示のためのスペースとして活用している。
そんな独創的な店の背景にある考えや大切にする価値を知るため、日本のメディア初登場となるレモ・ハラウアー(Remo Hallauer)=コム デ ギャルソン インターナショナル(COMME DES GARCONS INTERNATIONAL、以下CDGI) バイスプレジデントとケイト・コフィー(Kate Coffey)DSMPリテール・ディレクターにインタビュー。エイドリアン・ジョフィ(Adrian Joffe)CDGI最高経営責任者(CEO)兼ドーバー ストリート マーケット(DSM)CEOを支える2人に話を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月10日号からの抜粋です)
これまでとまったく異なる体験を生む
川久保玲による店舗デザイン
WWD:DSMPがオープンしてから9カ月になるが、現地での反応は?
ケイト・コフィーDSMPディレクター(以下、コフィー):反応はとてもポジティブ。オープン前も同じ場所で文化施設として3537が運営されていて、パリのファッションやカルチャーシーンを盛り上げる多彩なプロジェクトやイベントが行われていた。なので、建物自体はすでに親しみのある場所になっていると思う。訪れるお客さまは、ローカルから国内外の観光客、ファッション業界人、カルチャー好きまで、多様なミックスになっている。
レモ・ハラウアーCDGIバイスプレジデント(以下、ハラウアー):パリはファッション業界にとって極めて重要な街であり、百貨店やブランドの直営店、独立系のショップなど、すでに多くの小売店がそろっている。そんな中でもDSMPは必要だった。DSMPが面白いのは、バリエーション豊かなブランドや心を揺さぶる多彩なデザイナーを知れること。新しいデザイナーを発見したり、幅広いプロダクトや異なる視点に触れられたりする場所だ。週末は多くの人でにぎわう商業的な通りという立地もあり、店舗かも知らずに(通りに面した門をくぐって)、DSMPを発見してくれることもある。
WWD:ジョフィCEOはDSMPの開発に際して、川久保デザイナーが“美しいカオス”をコンセプトにしたDSMの再文脈化に取り組むと語っていた。これまでのDSMとの違いや新しさとは?
ハラウアー:他のDSMでは異なるブランドやデザイナーがそれぞれのスペースを手掛けることにより“美しいカオス”が生み出されているのに対し、DSMPは店全体を川久保玲がデザインしていることが最も大きな違いだ。そのため、体験はまったく異なる。ここでは店内に入ると、ある意味“迷子”になり、新しいブランドや商品と出合う。そして、歴史あるブランドのすぐ横には新進デザイナーの服が並んでいて、単にブランドを比較するのではなくプロダクトとして見比べることができる。それが、すてきな発見をもたらすだろう。
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