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特集 パリ・コレクション2025-26年秋冬

パリに広がるビンテージの美学 「クロエ」「ミュウミュウ」「ヴァレンティノ」がけん引

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パリに広がるビンテージの美学 「クロエ」「ミュウミュウ」「ヴァレンティノ」がけん引

ここからは、今季のパリで感じられた3つのムードを掘り下げる。最も目を引いたのは、ビンテージや歴史の断片からヒントを得て、現代的に落とし込むアプローチの広がりだ。トレンドをけん引する「クロエ(CHLOE)」は、象徴的な1970年代調のボヘミアン・ロマンチックなスタイルを新たな視点で解釈。「ミュウミュウ(MIU MIU)」も、今季はクラシックな淑女スタイルにひねりを効かせた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月24日号からの抜粋です)

LOOK BACK ON THE PAST

ヴァレンティノ(VALENTINO)

ミケーレの美学を今回はミニマルに

舞台は公衆トイレ。個室と共有スペースが同居する空間に送り出したのは、肌をあらわにするレースやチュールのボディーコンシャスなウエアを内に秘めた、ジャケットやコート、デニムのスタイル。二面性を物語るバイカラーの色使いが目立つ。オートクチュールから一転して、(まだまだ華やかだが)ミケーレ(Alessandro Michele)流のミニマルなムード。フリルやラッフル、リボンを使うロマンチックなムードが確立してきた。

「クロエ(CHLOE)」

過去と今が溶け合うロマンチックスタイル

「いかに過去をロマンチックに表現するかを考えた」というシェミナ・カマリ(Chemena Kamali)は、かつて愛したものと今日愛するものを融合。ギャザーやフリルを配したドレスやキャミソール、ブラウスに、コンパクトなビクトリアンジャケット、人工ファーやキルティングの暖かなアウター、シアーなロングスカートなどを合わせ、ボヘミアン・ロマンチックなスタイルを進化させている。20年前にヒットした“パディントン”バッグ(こちらの記事参照)も復活。ファーのしっぽ型チャームやストールをアクセントにした。

「ミュウミュウ(MIU MIU)」

古き良きレディーライクに違和感をプラス

ガーリーなスタイルを見せた半年前から一転し、古き良きレディーライクな着こなしに「ミュウミュウ」らしい違和感を加えた。「この困難な時代には、私たちの気分を上げてくれるフェミニニティーが必要」と語るミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)は、マスキュリンなウールコートやジャケットに柔らかなカーブを形作り、タイトなセーターには尖ったブラを合わせて胸を強調。腕にかけたファーストールやハンドバッグ、大ぶりのブローチとジュエリー、クローシュハット、ランジェリーなど女性らしさを象徴するようなアイテムが、スタイルのカギになる。

アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)

遊び心あるビンテージレイヤード

シフォンやレース、チュールなどの素材と、ドレープやパフ、フリル、垂れ下がるコードなどのディテールを多用するスタイルコードをプレイフルなレイヤードでモダンに再定義。今シーズンはビンテージライクなモヘアのニットやレザーブルゾン、グランジムードなネルシャツ、洗いをかけたジーンズなどを加えて、若い世代の期待に応えるとともにスタイルの普遍性を強調した。コンチョベルトなどカウボーイのムードがスパイス。

Other Brand

© ISSEY MIYAKE INC., © ALESSANDRO GAROFALO (MERYLL ROGGE), © LAURA SCIACOVELLI (DIOR GROUPSHOT), BFA (VAQUERA), COURTESY OF BALENCIAGA, COURTESY OF THE ROW, GORUNWAY (DRIES VAN NOTEN), KOJI HIRANO (CFCL), KRISTY SPARROW (VAUTRAIT), OWENSCORP (RICK OWENS), RUBY PLUHAR COURTESY OF GIVENCHY (GIVENCHY BACKSTAGE), AND ADAM KATZ SINDING (VALENTINO BACKSTAGE), DOMINIQUE MAITRE (NINA RICCI), EMILY MALAN (CHLOÉ BACKSTAGE), GIOVANNI GIANNONI (HERMÈS), KUBA DABROWSKI (MIU MIU BACKSTAGE) / WWD ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC

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