東京でファッションショーを行なってきたブランド「クリスチャン ダダ」が、シンガポールの企業傘下に入った。同ブランドの森川マサノリ・デザイナーに買収の経緯や今後の方針を聞くと「とにかく海外で勝負したい」という答えが返ってきた。東京デザイナーの新たな指針になるべく、今後のクリエイション活動に注目が集まっている。
——買収の経緯を教えてほしい。
昨年9月から交渉を進め、D'League(ディーリーグ)というシンガポール企業の傘下に入った。クリスチャン ダダの株式51%を売却し、正式にディーリーグの子会社になっている。ディーリーグは、ラグジュアリー時計の「リシャール ミル」やジュエリーの「ブシュロン パリ」などのアジアにおけるマネジメントや小売りを行なっている有力企業。さらに、サレンダーというセレクト業態も運営しており、以前から「クリスチャン ダダ」の商品を買い付けていた経緯がある。
——いよいよパリへ進出する。売り場も増えそうだ。
今後は「クリスチャン ダダ」のブランド価値を上げ、アジア、欧州に直営店をオープンする計画だ。今年6月のパリ・メンズコレクションに進出するのも、世界に"ダダ"というブランドを刻み、クリエイションで勝負したいという気持ちと、先行投資によりブランド価値をアップさせるという狙いがある。また、発表拠点が海外に移っても、素材調達や生産については日本国内をベースにしていく。現在は、約9割がメンズの売り上げなので、ウィメンズについても少しずつ拡大したい。理想は5割までウィメンズを広げること。性別の売上比率を均等に近づけつつ、ブランドを拡大させる。