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特集 パリ・コレクション2025-26年秋冬

「グッチ」にデムナ、賛否両論 否定派はディストピアなクリエイションを懸念

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  • PROFILE: デムナ/「グッチ」新アーティスティック・ディレクター
  • 「10点満点で5点」と厳しい評価の専門家も

PROFILE: デムナ/「グッチ」新アーティスティック・ディレクター

デムナ/「グッチ」新アーティスティック・ディレクター
PROFILE: ジョージア生まれ。2008年、アントワープ王立芸術学院を首席で卒業。09年から12年まで「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」のウィメンズデザイン、12~14年は「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のシニア・デザイナーを務め、14年に「ヴェトモン(VETEMENTS)」をスタート。15年、「バレンシアガ」のアーティスティック・ディレクターに指名された。19年には「ヴェトモン」を去り、「バレンシアガ」での職務に専念した。「バレンシアガ」は21年にクチュールを再開。25年、「グッチ」の新アーティスティック・ディレクターに就任する

デムナ(Demna)が「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を去り、「グッチ(GUCCI)」のアーティスティック・ディレクターに就任する。7月9日に発表予定というクチュールショーをもって「バレンシアガ」での仕事を終え、直後に「グッチ」でのクリエイションをスタートする予定だ。初のコレクションを発表する時期は未定だが、彼の強いクリエイティビティーによって「グッチ」を低迷から脱却させる使命を担う。ステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)=グッチ最高経営責任者(CEO)は「グッチ」の親会社であるケリング(KERING)のパリ本社に呼び出した大勢の記者を前に、「デムナは、『グッチ』に特別なものをもたらしてくれるだろう。今日のファッションを定義する彼の手法は極めてユニーク。これこそが『グッチ』にふさわしいものであり、未来に必要なものだ」とコメント。「彼が同世代の中で最高のクリエイティブ・ディレクターであることは間違いない。彼は『バレンシアガ』のアーティスティック・ディレクターとして、メゾンのアイデンティティーを、そして『バレンシアガ』のファッションの視点を再形成する能力を証明した」と続けた。フランチェスカ・ベレッティーニ(Francesca Bellettini)=ケリング副CEOによると、デムナは「グッチ」で総合的な仕事に取り組むことになるという。一方で「バレンシアガ」におけるデムナの後任についての質問は一蹴した。業界筋は、驚きの人事をどのように捉えたのか?見解は、賛否両論真っ二つだ。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月24日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)

「10点満点で5点」と
厳しい評価の専門家も

デムナの「グッチ」への移籍について、ラグジュアリー市場に精通する専門家には「微妙な人事だ」と捉える人もいるようだ。バークレイズ(BARCLAYS)のキャロル・マジョ(Carole Madjo)=アナリストは、「『バレンシアガ』は彼独特の審美眼により、消費者の『好き・嫌い』が比較的ハッキリしたブランド。ゆえにデムナという選択肢は驚きだった。現段階では、『期待と不安が入り交じっている』という表現が適当だろう」とコメント。投資家にも同様の見解を持つ人が多いのか、ケリングの株価はニュース発表の翌日の14日、前日に比べて10.7%低下した。マジョは、「(サバト・デ・サルノ〈Sabato De Sarno〉時代の)2年間、『グッチ』はタイムレスを標榜したにもかかわらず、今は再びトレンドセッターになろうとしているように思える」と続け、デムナのディストピア(暗黒世界)に傾きがちなクリエイションにも警鐘を鳴らす。「彼のエッジーで特には扇情的なスタイルコードと、『グッチ』に求められる美意識に親和性はあるのだろうか?加えて彼がメゾンに加わるのが7月以降になるとしたら、年内の好転は難しいだろう」と分析した。

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