東急が小売事業の再構築に動く。8月1日付で、東急が直接出資し、小売事業を統括する子会社として新たに東急リテールマネジメントを設立。東急リテールマネジメントの傘下に商業施設の運営子会社6社を収める新体制を敷くことで、商業施設運営の一体化によるノウハウ共有や効率化を図る。
東急リテールマネジメントの傘下に入るのは、百貨店を運営する東急百貨店、モール事業を運営する東急モールズデベロップメント、渋谷109を運営するSHIBUYA109エンタテイメント、ながの東急百貨店、渋谷地下街、東急商業發展(香港)有限公司の6社。事業再編は、東急が24年3月に発表した3カ年経営計画の一環。「外部環境の変化が継続する中で、26年までを『再起動の期間』と位置づけ、経営基盤の強化と高資本効率の経営へ転換を図る」(東急)としている。
東急は現在、東急線沿線を中心に百貨店とショッピングセンター計28施設(複合施設を除く)を運営する。百貨店に関しては近年、都心の主要店舗を相次いで閉店するなど整理を進め、複合型商業施設やライフスタイル編集型の売り場運営に舵を切っている。中核エリアの渋谷においては、20年3月に東急東横店を閉鎖し、渋谷ヒカリエに百貨店のMDを切り出して再編集した「シンクス」を設置。23年1月に閉鎖した東急渋谷本店の跡地には、複数事業者による高層複合型施設の建設を予定している。
東急は「商業施設運営事業を取り巻く環境が大きく変化する中、東急百貨店の構造改革をはじめ、各社が事業競争力の強化に努めている。お客さまが今まで以上に、楽しさや豊かさを感じられる事業へと変革を目指し、各社を跨いだ事業戦略の遂行を行うにふさわしい経営体制に深化する」としている。